『全人』2015年2月号 No.791より
2015年2月号 No.791
「きれいな心 よい頭 つよい体」。玉川っ子の3つの約束をテーマに据えた今月号は、学校保健の特集です。心身の健康維持とバランスは、のびやかに成長し学んでいくための土台。巻頭では医師で登山家の今井通子氏のインタビューを掲載して、自然の中で育まれる五感の大切さを語っていただき、続いて、学園創立の翌年から全学園の保健を担ってきた健康院とK-12の保健室のきめ細やかなサポート体制を紹介しました。連載「先輩を訪ねて」では、元世界保健機関(WHO)ジュネーブ本部専門官の一盛和世氏に世界の保健衛生の現場についてお話をうかがいました。
また、創立85周年を機に締めくくりの舞台となったサントリーホールでの玉川大学第九演奏会を報告した記事にあわせ、指揮者・秋山和慶氏はじめ4名のソリストの先生方が寄せてくださったメッセージも掲載しました。
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子どもにとっては自分が経験したことしか土台にならないし、積み重ねが多ければ多いほど体にも心にも自信がつく。この土台をしっかりさせておかないと、人と共同作業をする年齢になっても、何もできないくせに「できるできる」って言ってみたり、本当はやれるのに臆病になったり、人と自分との関係性のバランスもとれなくなってしまうんじゃないでしょうか。(略)
子ども時代に自然の中で自分の五感が掴んだ勘を信じるということを知っておくと、それは後のちまで、大人になってからも、いろんな場面ですごく強みになる。新しい研究や仕事に挑んだりするときにも強みになるし、自分の健康が何か危ういというサインを出したようなときにも敏感に反応して取り戻せたりするようになるはずです。「自然が育んでくれること」 今井通子 p4
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これまでに仕事で100カ国近くを訪れました。例えば、WHО本部のあるジュネーブからフィジーに行く場合、地球を1周して帰って来るルートをとります。よくそういう移動をしていました。当たり前ですが、移動中には「地球は丸いんだな」と実感する。この実感は、「地球のどこかで起こっていることは、必ず自分につながってくる」という意識につながる。だから、世界にはさまざまな国があって格差もあるけれども、「人類として困難があるなら助けないといけない」と思うのです。同じ「ヒト」同士、争ったりしている場合ではありません。
世界フィラリア症制圧プログラムでは毎年10億人に薬を配布しています。対象の53カ国は政治、宗教、人種などが異なるものの、現場でやることは同じ。私たちは現地の状況を熟知した上で実施します。プログラムの根幹に据えるポリシーや実施の手順は「同じ人間ならわかるもの」であることが大前提なのです。「玉川の先輩を訪ねて65」 一盛和世 p12
目次
- [特集]きれいな心 よい頭 つよい体
自然が育んでくれること 今井通子
故きを温ねて 20
「私共は『健康院』と呼びます」…白柳弘幸
全人的医療で心身を支える 学園を守る診療所「健康院」
院長&看護師&心理カウンセラーに聞く
心と身体を優しく見守る 保健室だより
玉川の先輩を訪ねて 65
元世界保健機関(WHO)ジュネーブ本部専門官 一盛和世【農学部1974年卒業】 - TAMAGAWA GAKUEN NEWS
- 行事報告
「玉川大学第九演奏会」…中村岩城 - 玉川大学第九演奏会に寄せて
指揮者&ソリストからのmessage - 学びの時間 41
芸術学部芸術教育学科 髙橋 愛研究室 - K-12学びの丘 15
高学年の中央委員会 - Our Job, Our Pride 30
学園教学部生徒相談室 坂野由美子さんの仕事 - 今月の一労作 17
みんなで育てた大根 - キャリアナビゲーション'14
就活データ「子どもの就職活動への親の【関心度】は?」+
神奈川県警察音楽隊 高梨佳子さんに聞いてみた - 学園日誌…小原芳明
- Book Review 121 『子どもの成長に飛び級はない』…藤樫啓太
- 教育博物館館蔵資料紹介 273 「子供風俗 たがまわし」…柿﨑博孝
- 玉川の仲間たち 「トマト」…田淵俊人