霜の研究 ~技術の進歩~

2014.01.21

私が行っている研究のテーマは,霜結晶の生成・成長機構の制御です.霜の発生は,冷蔵庫やエアコンなどの電力消費量を大きく左右します.
これまでの研究で,冷却面に四角柱のような(1辺の長さが数百ミクロンの)微細な突起を設けることで,その突起部(凸部)表面のみが着霜し,着霜面積を75%まで低減することに成功しています.私はデジタルマイクロスコープを用いて,霜結晶成長の様子を観察しました.写真は冷却面に対して正面から撮影しています.観察を行っている霜は奥行き方向に成長します.そのため,従来の撮影方法では(被写界深度の問題があり)一部分にしかピントが合いませんでした(図1).ところが,技術の進歩のおかげで,撮影したい焦点の最上部と最下部を設定することにより,自動的に数十ミクロン単位でピントをずらしながら設定範囲内で撮影をするため,綺麗な(芸術的な?)写真を撮影することが可能になりました.この結果,冷却面の底部には霜が成長していないことが確認できました(図2).この現象を世界で初めて見たのは私ということになります.技術の進歩は凄いと日々実感しています.

図1 通常撮影時の写真
図2 深度合成機能を用いて撮影した写真

機械工学専攻 1年 松下 将