科学するTAMAGAWA 国際教育センターの取り組み

2017.07.18

玉川大学は、創立以来「全人教育」を教育理念の中心として、6つの価値を調和的に創造することを教育の理想とし、その理想を実現するために12の教育信条を掲げています。その教育信条のうちの1つに「国際教育」があります。現在、その中枢となっているのが国際教育センターです。
国際教育センターの取り組みについて、センター長である松本博文教授にお話を聞きました。

開学以来、「国際教育」に力を注いできた玉川大学

2017年3月に『THE*1世界大学ランキング日本版2017』が発表されました。これは、日本の大学の現状を、「教育リソース」「教育満足度」「教育成果」「国際性」という4つの分野と11の項目で総合的に評価したものです。従来の世界大学ランキングでは「研究力」が中心でしたが、日本版ではより「教育力」に焦点が当てられています。今回は全国に750以上ある大学のうち基準を満たした435大学が対象となりました。その中で、玉川大学は「総合ランキング」99位、「教育成果」の項目で97位、「教育満足度」の項目で90位にそれぞれランキングされています。また、それに加え、参考データとして公表された「全学生に占める留学経験者の割合(中長期)」の項目では、28位と高い評価を受けました。この結果について、松本教授は「全学を挙げて留学を推進する取り組みが評価された結果」と分析しています。
「農学部にはカナダまたはオーストラリアへの留学を必修にしている学科もありますし、観光学部でも留学を必修としています。文学部英語教育学科も留学を必修としました。また、その数は全学生の割合からすれば決して多いわけではありませんが、玉川大学国際教育センターではSAE(Study Abroad Experience)海外留学・海外研修プログラムを実施し、1セメスターや2セメスターという単位での海外留学の推進を積極的に行っています」

2015年度の実績では、全卒業生のうち約15%が海外を経験していて、今後はヨーロッパの大学でも目標値とされることの多い20%を目標にしているそうです。

  • 1THE(Times Higher Education):イギリスの高等教育専門誌

海外留学プログラム必修の学部・学科

学部・学科 留学年次期間留学先
農学部 環境農学科 2年次 4カ月間 カナダもしくはオーストラリア
観光学部 2年次秋学期~
3年次春学期
1年間 オーストラリア
文学部 英語教育学科 2年次秋学期~
3年次春学期
9カ月間 イギリス、アメリカもしくはアイルランド

留学の質保証と効果・成果を持続させる取り組み

では玉川大学のSAE海外留学・海外研修プログラムとはどのようなものなのでしょうか。松本教授はこう語ります。 「ひと言でいえば、教育を中心とした留学での学びの質にこだわっているのが特徴です。留学を斡旋する企業や団体の提供するプログラムに送り込むのではなく、国際教育センターが自ら企画し、情報収集を行い、直接留学先教育機関と折衝を重ねることで、本学の学生に合った教育効果の高いプログラムを用意しています。だからといって留学は行っただけで何かが変わるわけではありません。あくまで自分の意思で能動的に変えていくことが求められます。ですから、例えばホームステイ先でトラブルがあったとしても、即時にステイ先を変更するのではなく、まずはさまざまな解決策を提案し、トラブルを自ら解決するというプロセスを経験してもらうようにしています。学修はもとより、そうした生活面での助言・指導も国際教育センターのスタッフが関わっています。どんなことで困っているのか、どんなアドバイスが必要なのか、留学を経験したスタッフが自分の経験も活かしながら支援しています」

SAE海外留学・海外研修プログラム提携校

アメリカ オレゴン大学 コロンビア大学 セント・マイケルズ・カレッジ
ダコタ州立大学 ドレクセル大学  ペンシルベニア大学 ワシントン大学
イギリス エジンバラ大学 エセックス大学 バース大学 ロンドン大学UCL
ロンドン大学ゴールドスミス ユニバーシティ・オブ・ザ・アーツ・ロンドン 
オーストラリア クイーンズランド大学
カナダ ビクトリア大学
ドイツ カール・デュイスベルグ ゲーテ・インスティテュート
フランス 西フランス・カトリック大学 フレンチ・イン・ノルマンディー
香港 香港中文大學

留学は行って終わりではありません。帰国後のフォローも大切と松本教授は言います。
「せっかく現地へ行って英語をはじめとする外国語を使用する機会を得ても、帰国後に使用する環境に恵まれないのでは、せっかくの語学力も低下してしまいがちです。また、それ以外に得られた、例えば文化的な学びの成果についても、活かしていく場面がなければ深めていくことも難しいです。私たちは、そうした機会を提供することにも積極的に取り組んでいます。その活動の大きな力となっているのが、TAMAGO(Tamagawa Global Opportunities)スタッフです。留学先での学びを活用しながら、玉川のキャンパスで展開される国際教育・交流活動をサポートし、活性化してくれる頼もしい存在です。昨年10月に開催されたUNHCR写真展「NOWHERE PEOPLE: THE WORLD'S STATELESS-世界の無国籍者たち-」や今年1月に開催されました「玉川-Harvard Glee Club 音楽交流2017」の文化交流プログラムでも活躍してくれました。TAMAGOスタッフには、留学経験の有無に関係なく、国際教育・交流に興味のある学生が、キャンパスにいながら国際的な経験のできる場として参加しています。海外に行くだけが国際化ではなく、自分たちがいる場所を国際化することも重要です。TAMAGOスタッフは、そうした志をもった学生の集団といえます。これからも海外からの訪問者のアテンドや、海外と在学生の交流を図るイベントの企画や運営などで力を発揮してくれるものと思います」

ハーバード・グリークラブ訪問時の様子
TAMAGOスタッフ認定式
1年間通して活動に貢献した学生が選ばれる

留学は強いインパクト、だからこそプラスに作用させる支援が必要

帰国生集会
オーストラリア クイーンズランド大学現地スタッフによる説明会
SAE海外留学交流会

今や“グローバル”という言葉を目や耳にしない日はないほどで、海外留学は企業が大学生に求める経験の第一に挙げられるともいわれるほど、国際的な経験の重要性は高まっています。では、なぜ企業はそれを求めるのでしょうか。
「海外留学はコミュニケーション力や主体性を養う上で効果的だからだと思います。人はさまざまな問題に直面しますが、日本にいればなんとかかわせるようなことも、海外ではそうはいかないことが少なくありません。文化的にも異なるバックグラウンドを持った者同士が、様々な形でのやり取りを通して問題を解決していく必要があります。こうした問題は、なにも複雑なものばかりでなく、日常生活の基本的なものにもおよびます。一人暮らしをしたことのない学生にとっては、そうした日常的な問題についても、“一人で解決する経験”が不足しがちです。留学は、いわば総合的な問題解決型学習の場と言えます。問題解決力を国際的な環境の中で実際の経験から身につけていくことができるのが留学のメリットといえます」という松本教授。

実際に留学を経験した人にはどのような変化があるのでしょうか。
「留学前はおとなしい印象だった学生が、“多くの人と話すのが楽しくて日本に帰りたくない”というほど劇的に変わったケースもありますし、留学を経てTOEICのスコアが300点以上もアップしたという学生もいます。本人たちにとって強いインパクトになったのは言うまでもありません。強いインパクトは良い影響も与えますが、ときにはマイナスに作用する可能性もありますので、そうしたリスクを軽減しプラスに働くように支援をしていくのも、このセンターの役目だと思います」
旅行会社に就職した文学部の卒業生は、在学中にSAE海外留学プログラムでオーストラリアのクイーンズランド大学へ留学し、帰国後はスペインのマドリッドにある国連世界観光機関(UNWTO)の本部でのインターンシップに、日本の大学生としては初めて選ばれ参加しました。さらに、彼女はアメリカ大使館が主催するリーダー育成プログラムであるU.S. Embassy Academy に挑戦し、厳しい選考をクリア日本国内で選ばれた10名のひとりに入ったという実績ももっています。現在は赴任先のスペインで活躍しているそうです。
国際交流センターでは、こうした留学経験者の体験談を聞くイベントも開催しています。参加する学生は、留学先で実際にあった話を聞くことで留学後の自分自身のイメージ形成につながっていきます。また、経験者にとっても自らの体験を語ることで振り返りになるとともに、人前で発表するプレゼンテーションのよい機会になります。

学生と時代のニーズに合わせたプログラム開発と支援

コロンビア大学

留学を希望する学生は、語学力に幅があることに加えて、それぞれの学部・学科で学ぶ専門分野も異なるため、留学に求めるものも少しずつ違ってきます。例えば、芸術学部の学生は、同じ英語研修プログラムでも、芸術に関する学びが組み合わされたものにより関心をもってくれると思います。そうしたことから、ユニバーシティ・オブ・ザ・アーツ・ロンドンでのSAE海外留学プログラムが生まれました。この9月が初めての派遣となりますが、早速芸術学部の学生が参加することになりました。今後は農学部や工学部といった理系の学部の学生たちの参加を促進できるように、科学英語の要素を含んだプログラムなども必要になるのではないかと考えています。

前述のようにSAE海外留学・海外研修プログラムは、留学の質保証の観点から、国際教育センターが自ら企画、開拓、調整しています。その際、世界各国・地域から集まる学生たちと机を並べて学べるよう、可能な限り現地教育機関の持つ既存プログラムを活用するようにしますが、既存プログラムにしても独自のテーラーメイド・プログラムにしても、本学の学生の実状とニーズに合った、効果的なプログラムであることを重視しています。近年では、全学的な英語プログラムである「ELFプログラム 」の成果もあって、学生の英語力が全体的に上がってきていると思います。そのため、それに合わせたプログラム開発も必要になっています。例えば、今までは“英語を学ぶ”ことが中心になっていましたが、これからは“英語で学ぶ”、コンテンツ中心のプログラムをさらに充実させる必要があります。これは、より高度な国際経験を求めている社会・時代の要請にも応えるものであると思います。今後も国際教育センターは、玉川大学の学生が必要としている、教育効果の高い海外留学・海外研修プログラムを提供するとともに、学生支援を行うことで、玉川大学の国際教育をさらに推進していきます。

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