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科学するTAMAGAWA 大学院 脳情報研究科 心を理解する脳科学

2011.07.25

高度な脳科学研究を実践する
玉川大学大学院 脳情報研究科。
その目的は世界に通じる研究者を輩出すること、
そして、玉川学園の「全人教育」という理念を
実社会で実践することにあります。

日本で唯一の脳科学専門研究科

玉川大学脳情報研究科は、日本の大学院の中で脳科学を専門とするただひとつの研究科として、2010年(平成22年)4月に開設されました。現在の科学の先端分野のひとつである一方、未開拓で今後多数の発見が期待される社会的ニーズも高い脳科学。この分野において玉川大学ではどのような独自のアプローチをしているのか、研究科長の木村實教授は次のように話します。

「もともと玉川大学では工学研究科で脳の研究を行っていました。そこでは工学の立場から理論的な研究を中心に行っていたのですが、その後、理論に裏打ちされた実験的な研究、さらに脳の働きをもとにしたロボット開発や、乳幼児の言語獲得・発達の分野から脳の研究を行うことによって人間の心を理解しようという理念で誕生したのが脳情報研究科です」。

このような背景を持つ脳情報研究科では、自然科学的な手法はもとより人文・社会学的な手法も使って脳の研究を進めていると木村教授は説明します。「脳情報研究科には、医学や工学はもちろん、哲学、心理学、さらには音楽理論を専門とする教員までが所属しています。こうした幅広い知識を総合し、社会の多様な要請に応えられる人材を育成するのが、当研究科の目的なのです」。

世界の脳科学をリードする人材を育成

幅広い研究により、世界に通用する脳科学者を送り出していきたいと木村教授。「脳情報研究科では、志の高い優秀な人材を学内外から集めています。例えば現在、脳情報研究科には博士課程後期しか設置していませんが、玉川大学の文学研究科や工学研究科の修士課程に、脳科学の基礎となる物理学や解剖学の科目(科目名:「脳科学基礎」)を設けたり、英語で論文を書ける世界に通じる能力を身につけられる科目(科目名:「技術英語特論」)を設けるなど、幅広い分野の学生が脳情報研究科をめざせるシステムづくりを進めています」。

「また、学外に向けては今年初めて『脳科学トレーニングコース』を実施しました。これは、学部学生、大学院生、若手研究者を対象に脳科学の基礎と応用を実習で学べるもの。4コース各3~5名の募集に対して国内外から100名以上の応募がありました。日本の脳科学は幾つかの分野で世界をリードしている一方、欧米に比べて研究技術の開発と応用が遅れている分野もあります。例えば脳の神経細胞が集団で交信する信号を同時に記録して、情報処理のしくみをコンピュータで解析するといった実験手法は、米国に比べて遅れており、修得したい若手研究者が多い。こうした手法を伝授することで、脳情報研究科の高度な研究レベルを学外に向けても発信していきたいと考えています。参加者からは『ユニークで興味深い研究』『ぜひ脳情報研究科をめざしたい』という声も聞かれ上々の反響でした」。

高度な研究を支える最新鋭の設備

ただし、脳科学の分野で高い研究レベルを達成するためには、最新の研究・実験設備も欠かせない要素。その点、脳情報研究科には「脳科学研究所」が併設されており、最新鋭の機器が取りそろえられています。

「玉川大学の脳科学研究は文部科学省の『グローバルCOEプログラム』(玉川大学グローバルCOEプログラム参照)に採択されており、国の援助を受けています。このため、最先端の設備をそろえることができています。例えば脳科学研究所には人の脳の活動を可視化できるMRIを設置していますが、実験用にMRIを設置できる機関はそう多くはありません。全国の大学や研究機関から利用したいという要望があります。こうした機器を日々使用することができるのは、優秀な人材を育てる上で非常に大きなメリットがあるのです」。

玉川学園全体へと波及する脳科学へのアプローチ

また、脳を研究することによって人間の心を理解するという脳情報研究科の立場は、大学院だけにとどまらず玉川学園全体の教育にも活かしていく動きもあるといいます。「学部学生に対しては、来年から脳科学の分野も「総合人間学」という全学生が履修できる科目として開講していく計画です。さらに、高校の『SSHリサーチ』(ひと。ゆめ。まなび。(幼~高)参照)では、高校生に実際に脳波を計測する実験をしてもらい、脳科学への興味を高める取り組みも行っています。K-12の教員へ向けては年2回学術講演会を実施し、脳科学への理解と関心を高めていただく取り組みも行いました」。

こうした背景には、玉川学園が掲げる「全人教育」の理念があると木村教授は話します。「私たちの目標は、脳の構造や神経回路を把握するだけにとどまりません。それらが人の心とどう関わっているのか、脳の働きは社会の中でどう生きるのか、その解明をめざすことが脳情報研究科の目標。それは脳科学を通して人の心を理解すること、人間を理解することです。すなわち脳科学の研究とは、玉川学園の『全人教育』につながるテーマなのです」。

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