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玉川の教育を改めて理解する機会。K-12親学講座で各ディビジョン(幼稚部~12年生)の部長が講演を行いました。

2016.08.18

玉川学園では保護者の皆様を対象に、さまざまな講演会やプログラムを開催する「K-12親学講座」を、一年を通して実施しています。今年度の第一回目の講座が6月17日(金)に開催され、子供たちの発達段階を踏まえた玉川学園の一貫教育について、幼稚部から12年生までの各ディビジョンの部長が説明を行うという、今までにない内容となりました。プログラムは、音楽科の教員でもある長谷部教育部長(9~12年)がリードして、保護者の皆さん全員で「学生歌」を歌うことからスタートしました。各部長も一緒に見事なハーモニーとなり、まさに「歌ではじまる玉川」を保護者の皆さんも実感したのではないでしょうか。この合唱の後、渡瀬学園教学部長、各ディビジョンの部長による講演が行われました。

「変わらないこと、変わっていくこと」を大切に 渡瀬学園教学部長より

玉川学園の教育は、親と子と教員が力を合わせる三位一体の教育です。私たち教員は日頃からディビジョンを超えて話し合いの機会を設け、重要な内容をシェアしています。幼稚園から始まる私立学校はたくさんありますが、我々のように常に話し合い、一貫した教育をめざしている学校は少ないのではないでしょうか。
玉川学園には創立以来の全人教育があります。今でこそ辞書にも載っている全人教育ですが、元来は小原國芳先生によって約90年前に作られた造語です。この全人教育をはじめとする12の教育信条の中の一つ「自学自律」は、まさに今関心を集めているアクティブ・ラーニングです。このように玉川学園の理念は創立以来変わることなく息づき、その一方で制度や教育方法は時代に合わせて常に変化しています。
玉川では、K-12一貫教育や国際バカロレア(IB)クラスもいち早く取り入れましたが、今では、小中高一貫の都立校が誕生したり、国際バカロレアに取り組もうとする学校が増えるなど、私たちの取り組みが間違っていなかったと実感させられます。

また今年度からスタートした延長教育もそうした変化の一つです。さらに現在の8年生が大学へ入る頃には新しい入学試験制度がスタートしますから、それに合わせた指導に早期から取り組むことも考えていかなくてはなりません。
国際バカロレア(IB)クラス、スーパーグローバルハイスクール(SGH)、スーパーサイエンスハイスクール(SSH)、このすべてを備えている学校は、玉川を含めて全国に2校しかありません。私たちは、これらの教育に求められる「自ら考えて行動する学び」を9年生からだけではなく、幼稚園から実践しています。玉川ではこうした精神を大切にしつつ、その年代にあった指導をしながら、それぞれの夢を実現できるように育てていきたいと考えています。

何かに挑戦したい、その気持ちを大切に育てていく 櫻井幼稚部長より

渡瀬先生が最初に話した「変わらないこと、変わっていくこと」ということは、まさに幼稚部でも言えることです。何かやりたいという子供の願いを、どうしたらできるのかと考えさせ、正しい方向へと導く教育は、昔から変わらない玉川学園幼稚部の教育の基本です。
その一方で、今年度から幼稚部はBLES-K(Bilingual Elementary School-Kinder)を導入し、バイリンガル幼稚園として新たなスタートを切りました。日本語は日本語として、英語は英語としてしっかりと学ぶべきという考え方もありますが、一つの言語を学ぶのに1000時間かかるといわれています。であるならば、子供たちの生活の中に「言葉に触れる」「言葉を発する」必然性を日本語に加えて、英語もその環境として設定したいと考えたのです。今、子供たちは日本人の先生と話す際には日本語を、外国人の先生と話す際には英語を、自然と口にするようになっています。私たちは、子供に対して日本語でも英語でも働きかけ、発信できる状況を整えておくことが、幼児期におけるバイリンガル教育ではないかと考えています。
「歩く技術をどれだけ身につけたとしても、走りたいという思いがなければ、歩くことから次への挑戦として走り出すことはない」という言葉があります。幼稚部では、私たち教員が指示するのではなく、子供たち一人ひとりが自主的に何かをやりたいと願う、その気持ちをこれからも大切にしていきたいと思っています。

増やしたいのは、子供たちの「いい顔」 後藤教育部長(1~4年)より

1~4年生での学びを説明する際に紹介するのが、「やる気や好奇心を大切にしたプログラム」、「61万平米のキャンパスすべてが学びの場に」、「K-16の一貫教育」、「国際的な学習の充実」、「学びの技を身につける教育」の五点です。本物に触れることで子供たちの興味を伸ばしていく。延長教育もその一つです。キャンパスを活かし、昆虫などを捕まえて自ら調べるといったことも行っています。またK-16一貫教育に関しては、学園展などで先輩から教わる場面が非常に多くあります。国際的な学習については、BLES(Bilingual Elementary School)がスタートしたことで英語以外の教科でも英語に触れる機会を増やしています。そして一番大切なのは「いろいろな体験をさせてあげること」だと考えています。「学ぶことって楽しい、学校って面白い」という体験を十分に味わうことで学習習慣と生活習慣を身につけてもらいたいです。
私たちは「いい顔」というフレーズを大切にしています。國芳先生は礼拝の際、子供たちに向かって「いい顔! いい顔!」とおっしゃったそうです。私たちは子供たちが「いい顔」で取り組めるようなプログラムを提供したいと考えています。そして、いい顔の子供たちを、次の5~8年に託したいと思っています。

9~12年、大学を見据えてさまざまな活動がスタート 伊部教育部長(5~8年)より

9~12年生になると大学進学やその先の将来のことを見据えた教育を行うことになりますが、その前段階となる5~8年生では、子供たちの夢を大切に育てられるように、一つひとつの活動を着実に進めていこうと考えています。習熟度別クラスで学ぶ数学や英語。学びの技を継続して行うことで身につける言語スキルや思考スキル。そして教科発展型の研究分野を生徒自身が選んで取り組む自由研究。この自由研究に代表されるように、自分でテーマを見つけて調べ、まとめて発表する。このようなサイクルを通して課題発見解決力や想像力、論理的思考力など基礎を身につけていきます。発表の機会も多いので、子供たちは私よりも上手に発表するほどです。さらにTAPでの活動を通してこの時期に大切な、友好な仲間関係を築いていきます。リーダーシップ、フォロワーシップは、TAPに限らず多くの行事を通して身につけていこうと考えています。また国際交流もさらに活発になり、一年に200人程度を海外に派遣し、8年生は85%の生徒が海外研修に参加しています。
このように、5~8年生ではさまざまな活動を教員も一緒になって取り組み、そして9~12年生の生活につなげていこうと考えています。

「知性と感性の競争の場」としての9~12年長谷部教育部長(9~12年)より

ここまで各ディビジョンの部長にお話をいただきましたが、9~12年生はその総仕上げとなります。一言で言うならば9~12年生は知性と感性の競争の場です。知性と感性はとても密接な関係にあります。この双方を伸ばす機会を、授業や学校生活を通して生徒に与え続けています。
その身近な一つの例とすれば、労作が挙げられます。私たちは労作を労働作業ではなく労働創作ととらえ、掃除も美化労作と呼びます。決められた時間の中で出来る、目標の明確な最善の美化に努めます。同様に、さまざまなことを自ら課題を見つけて目標を明確にし、自ら学習や研究を掘り下げ実行するということを行っています。まさにこれが“アクティブ・ラーニング”であり、創立当時から「自学自立」として取り組んできました。
また、高大接続や連携に関しては、玉川大学進学生徒は12年生の後半から大学授業を受講し、大学1年生修得単位の半分と高校卒業単位を修得して卒業します。こうしたことも一貫教育の良さであり、生徒たちの将来の夢をさまざまな分野に向けて進む選択の幅を広げています。
文部科学省は大学の教育改革を進めています。数年後にはセンター入試の在り方も変わりますが、それは大学の教育改革だけでなく、高校の教育改革にも繋がる大きな改革となります。高学年では生徒の夢の実現のために、知性と感性への触発を大事にした教育の展開を考えています。

今回の講演では、さまざまな話題が取り上げられました。そこに共通していたのは、ブレることのない玉川の教育理念と、それを時代のニーズに合わせ適合させていく姿勢でした。参加された保護者の皆さんにとって、意義深い時間となりました。

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