玉川学園の音楽教育の拠点、『University Concert Hall 2016』が完成

2016.10.27

講堂・視聴覚センター・器楽教室が、新たに『University Concert Hall 2016』として生まれ変わりました。

大安吉日の9月28日(水)、7か月にわたる改修工事が無事終了し、『University Concert Hall 2016』の完成を神に奉告し、建物全体を祓い清める「清祓式(きよはらいしき)」と、「披露演奏会」が行われました。

玉川学園関係者と、改修工事に携わった久米設計、西松建設の関係者、総勢100名余りが参列した「清祓式」は、熊野神社の池田宮司により厳かに執り行われました。施主挨拶で小原芳明は「本学が追究する、科学と芸術の融合を意味する『ESTEAM』教育「ART」の拠点としてふさわしい建物が完成しました」と、笑顔で語りました。

  • ESTEAMとは、ELF(English as a Lingua Franca):共通語としての英語、Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Arts:美術・芸術、Mathematics:数学の各分野とそれらの総合的な教育のこと
左:豊永正登氏 右:近藤晴貞氏

設計を担当した株式会社久米設計の豊永正登氏からは、「University Concert Hall 2016は、世界的な音楽環境を備えた設計をしています。まさに人間性・感性を育む場として活用していただきたい」と祝辞をいただきました。

工事を担当した西松建設の近藤晴貞氏からも「今まであった音楽系の施設を集約し、理想の音楽教育の場として玉川教育になお一層貢献できる施設になることを祈念します」と挨拶をいただきました。

続いて、『University Concert Hall 2016』の大ホール「Marble」に場所を移して「披露演奏会」が行われました。当ホールは玉川の音楽教育の歴史の継承にふさわしい音響環境を完備し、コンサートホールとしての利用はもちろんのこと、400インチのスクリーンが設置され、講演会や発表会など多岐にわたる利用が可能なホールとなっています。初めて披露された演奏プログラムは、玉川大学芸術学部の小佐野圭教授によるピアノ独奏と、玉川大学客員教授、国立音楽大学・大学院教授の大倉由紀枝氏によるソプラノ独唱。美しい旋律は重厚な音響空間によって豊かさを増し、本格的なコンサートホールへの新生を実感するものとなりました。

  • Marbleとは、Music,acoustic,resonance,breath,lesson,emotion or expressionの意を表しています。

その後は館内見学となり、小ホール・101で、玉川学園の5年生から12年生までの弦楽器メンバーで構成されているオーケストラ部による弦楽合奏曲が披露されました。ここは床の形状を段床形状にすることにより、オーケストラの練習などにも対応できるようになっています。

また、『University Concert Hall 2016』はコンサートホールとしての機能だけでなく、主体的な学修に対応した施設として、壁面にガラスを多用し、ピアノや管楽器、声楽等の授業や練習に使用するための「レッスン室」、明るい学修空間の「教室」、学友との集いに最適な「学生ラウンジ」や、独りでも大勢でも勉学に活用できる「ハイカウンター」や「ブース」などを設けています。

新生『University Concert Hall 2016』は、これから順次活用されていきます。10月23日(日)には『ガスパール・カサド没後50年 原智恵子没後15年記念祭 記念演奏会』を開催しました。一般の皆様方にもコンサートホールを体感していただく好機となりました。

玉川学園創立者・小原國芳が提唱した、「音楽教育を通じて豊かな人間性や感性は育まれる」とする理念は、新生『University Concert Hall 2016』により、さらなる発展が期待されています。

University Concert Hall 2016 音響特性について

前身の玉川学園講堂でも、音響環境は良好な状態が保たれていましたが、更に室内音響環境を向上させるための改善を行いました。今回の改修で、舞台正面の壁を4°傾けて、音が広範囲に広がるようにし、天井形状を改善しホール全体を良い音響にしました。また、ホール入口を二重扉化し防音性を高めました。さらに演奏だけでなく各種講演にも活用できるよう、舞台正面壁に昇降式の吸音幕を設置しています。これによりマイクの音の響きを抑え、話しやすく聴きやすくしました。

今回の改修によって、客席に届く反射音が増え、一層響きの良いホールとなりました。日本を代表する同規模のホールと同等の音響環境を実現しました。残響時間は満席時1.7秒(500hz)となっています。

    • 音を止めた後に空間に残る音の長さを量的に表したもの。一般的にクラッシックコンサートの響きは長めがよいとされています。

 

玉川の音楽教育を見守る「ベートーヴェン像」

昭和42(1967)年に東京で開催された「ベートーヴェン生誕200年祭記念展示会」で、ウィーン・ハイリゲンシュタット公園にあった像を、日本国内で複製された「ベートーヴェン像」が展示されていました。創立者小原國芳は玉川の丘に是非欲しいと望み、その熱意が展示会の代表者に伝わって、玉川の丘に移されました。「ベートーヴェン像」は聖山に立ち、周辺の音楽校舎で学ぶ学生たちを励まし続けました。University Concert Hall 2016に音楽校舎機能が集約されたことを機に、ベートーヴェン像はUniversity Concert Hall 2016の正面広場に移設され、以前と変わらず本学の音楽教育を見守っています。

University Concert Hall 2016を象徴する2つの陶板絵画

University Concert Hall 2016の大ホール「Mable」のホワイエに、アメリカの画家ジャクソン・ポロック作『秋のリズムNo.30』があります。ポロックが考案したポアリングという手法を用いたこの作品は、指揮者がふる指揮棒の軌跡を連想させ、重厚感あふれるホールへと演出してくれます。
3階にあるレッスン室や学生用のラウンジの近くに印象派の巨匠オーギュスト・ルノアール作『ピアノを弾く少女たち』があります。コンサートホールの演奏がこの作品と密かに調和し、より豊かな音へと、そして詩情あふれる空間へと変貌してゆく様子を感じ取れるかもしれません。

ジャクソン・ポロック 『秋のリズム No.30』
オーギュスト・ルノアール 『ピアノを弾く少女たち』