ベルリン・フィルのメンバーが玉川に。さまざまなプログラムで生徒や学生と触れ合いました

2018.01.17

昨年11月22日(水)、素晴らしいお客様が玉川学園を訪れてくださいました。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員の皆さんが来校し、「芸術で探検」をテーマにした教育プログラムをドイツ連邦共和国大使館の後援で学園全体で開催しました。
今回玉川学園を訪れたのは第1ヴァイオリンのアマデウス・ホイトリング氏、第2ヴァイオリンのライマー・オルロフスキー氏、ヴィオラのマシュー・ハンター氏、そしてチェロのニコラウス・レーミッシュ氏の4名です。玉川学園とベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員の交流は、ホイトリング氏が玉川大学文学部芸術学科(当時)のマスタークラスを指導したことから始まりました。玉川教育を高く評価したホイトリング氏は、その後も来日公演の度に玉川学園を訪れ、限られた時間の中で、様々な形で交流してくださいました。今回もベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の日本公演がスタートする直前、たった1日しかない休日にもかかわらず、カルテットを組んで来園してくださいました。

午前中に行われたのは「芸術で探検」する4年生の教育プログラムです。この日企画されたのは、メンバーの演奏を聞きながら、4年生の児童たちが絵で表現するというものです。
会場となった低学年校舎中央ホールには、メンバーの登場を心待ちにする児童たちがいました。メンバーが登場すると元気な声で「グーテンモルゲン!」と挨拶。これに対してメンバーは「オハヨウゴザイマス!」と、日本語で挨拶を返してくれました。感謝の気持ちを込めて児童たちがシューベルトの「野ばら」の合唱をドイツ語も交えながら披露した後、メンバーによるモーツァルトの演奏と同時に児童の作画がスタートしました。各クラスで1枚の大きな紙に児童それぞれがメンバーが奏でる曲を聞いて感じたままのイメージを描いていきます。具象画ではなくそれぞれが感じたことを描き、メンバーが演奏する3曲が終わる頃には、各クラスの絵が完成しました。出来上がった絵を見ながら、児童とメンバーが意見を交わします。「音が激しかったので、こんな感じになりました」という児童に対して、「君のエネルギーを感じます。踊っているようにも見えますね」とメンバー。また絵の具を紙の上から散らすように滴らせた児童に対しては「ジャクソン・ポロック(アメリカの有名な抽象画家)のようですね」と話しかけ、「君はポロックですか?」とユーモアを交えて話していました。

そして午後はUniversity Concert Hall 2016のMARBLEへと会場を移し、公演の部が開催されました。一般の方の来場もあり、開場するとあっという間に客席は満席に。そしてステージに登場したベルリン・フィルのメンバーを、大きな拍手で迎えました。この日演奏されたのはハイドンの「弦楽四重奏曲第63番 変ロ長調 作品76-4《日の出》」と、メンデルスゾーンの「弦楽四重奏曲第4番 ホ短調 作品44-2」です。4人の演奏によって、会場全体に豊かな音色が響きわたります。この日の弦楽の素晴らしさを感じさせる演奏に、曲が終わっても長い間拍手が鳴り止みませんでした。
そして玉川からのお礼として、芸術学部学生による和太鼓「明音」の演奏と舞踊「じょんがら」が披露されました。

引き続きMARBLEで、「芸術家とは ̶ What does it mean to be an artist?」という問いをタイトルにした「対話の部」が行われました。これは玉川学園の児童、生徒、学生、そして教職員を対象としたプログラムで、ベルリン・フィルのメンバーと質疑を通して対話するプログラムです。世界トップレベルの演奏家に直接質問できるまたとない機会ということもあり、特に芸術学部の学生から多くの質問が寄せられました。「アーティストとして社会貢献するためには、学生のうちにどんなことをしておけばいいでしょうか?」という質問に「若いときは、仲間からも多くのことを学びました。現在はユース・オーケストラの指導や難民支援にも参加しています。そうしたさまざまな経験を通して、今も自分に何ができるのかということを考えていますね(レーミッシュ氏)」と話してくれました。また、「音楽とはご自身にとってどんなものでしょうか?」という質問には「言葉にするのはなかなか難しいですね。その人の経験や生き方も表われるので、色々なことを意味しています(ホイトリング氏)」「ただの音ではなく、文化であり芸術。音楽を通じて、言語や文化が違う人とも友だちになれるんです(オルロフスキー氏)」「音楽はエネルギーのようなもので、それを観客との間で行き来させることができます(ハンター氏)」「自分のために弾くときはセラピーみたいなもので、自分との対話の時間になっています。また、私はチェロを通して自分の中にあるものを解放するんです(レーミッシュ氏)」と一人ひとり答えてくれました。「音楽家になることを諦めなかった理由と、そうした気持ちを克服する方法はありますか?」という質問には「時には休憩も必要です。いろんなことをして、そこから触発されることもありますから(ホイトリング氏)」「何回も諦めかけましたが、自分の中の情熱が勝っていました(オルロフスキー氏)」と自分たちの経験からのアドバイスもしていました。

参加した学生にも話を聞いてみました。「トップレベルのプロであっても、調子のいいときや悪いときといった波があると分かりました。そんな波を乗り越える考え方をきちんと持っていることが、プロとして重要なのだと感じました(男子学生:パフォーミングアーツ学科1年)」「現在は舞台の演出について学んでいますが、自分の目標に向けての勉強だけでなく、時には違うことに触れてみるという体験も重要なんだと教わりました(女子学生:パフォーミングアーツ学科1年)」「休んでいるときでも頭の中で練習をしているというお話があったのですが、本当に音楽が好きなんだと思いました。自分も好きなことを大切にしていこうという気持ちになりました(女子学生:パフォーミングアーツ学科1年)」。
また、今回のプログラムに関して、受付、観客誘導、舞台からのメンバー誘導などのお手伝いをTAMAGOスタッフ(Tamagawa Global Opportunitiesスタッフ — 玉川の国際教育・交流学生ボランティア)が行いました。彼らからは「世界で活躍する人とこんなに身近にお話ができるのはとても貴重な機会だと思いました。私は教育学を専攻しているので分野は違いますが、人生観や物事に対する取り組み方など、知見を広げるいい機会になりました(女子学生:教育学科4年)」「世界レベルのアーティストは雲の上のような存在で、自分とは全くかけ離れた存在だと思っていましたが、努力の重要性や自分を知ることが大切と話されていて、根底にあるものは同じなんだと実感しました(女子学生:教育学科4年)」といった感想を聞くことができました。

創立当初から「本物に触れる教育」を大切にしてきた玉川学園。今回のベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員によるプログラムも、感性豊かな学生時代に本物に触れる貴重な体験となりました。

TOPIC:プログラム終了後ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団員の皆さんにメッセージをいただきました

アマデウス・ホイトリング氏
ライマー・オルロフスキー氏
マシュー・ハンター氏
ニコラウス・レーミッシュ氏
同行し、見学してくださったオーボエ奏者 ヴィオラ・オルロフスキー氏

一昨年の改修により舞台正面の壁を4℃傾け、客席に届く反射音が増え、一層響きのよいホールに生まれ変わったUniversity Concert Hall 2016のMARBLE。
今回演奏されたベルリン・フィルのアマデウスさんに新しいMARBLEの感想をお聞きしました。
「音響がとてもよく、非常に演奏しやすかったです。音響の良いホールは、自然に無理なく良い音が響くので、演奏していて心地よいものです。 また、良いホールは、音そのものをカラフルでダイナミックにします。ポップスターの歌手はマイクを使えるけれど、マイクを使えない私たち楽器演奏家にとって、音響はとても重要です」。
また、他のメンバーの皆さんは学校で用意した楽器を使ったそうですが、「ホールが演奏を助けてくれたので、とても気持ちよく演奏できました」とのこと。
アマデウスさんは最後に「玉川は、このホールを誇りにしてほしい」と語ってくれました。

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