日本版DMOで観光振興を行うには。観光学部香取ゼミの学生が山形市商工観光部の方を招いて講演会を開催しました。

2018.12.18

観光学部の学部長でもある香取幸一教授のゼミナールでは、10月11日(木)から三週にわたり、旅行や観光に携わる企業や行政の方をお招きし、大学教育棟 2014のアカデミック・スクエアを会場にして、講演を行っていただきました。講師のアポイントや事前準備などを学生が担当。学生たちは、担当した企業や行政の方の講演内容を基に、自分たちで意見や考えをまとめ、学期末にプレゼンテーションを行うことになっています。

二週目となった10月18日(木)は山形市商工観光部観光戦略課の青木哲志さんをお招きし、「日本版DMOによる山形市の観光振興の取組」というテーマでお話しいただきました。


少子高齢化や人口減少によって、日本の地方都市のマーケットは縮小傾向にあります。こうした中、重要な収入源として期待を集めているのが、地域外から利益を得られる旅行や観光といった分野です。ただ、利益を出すシステムを構築するのは、どの地域でも簡単ではありません。ニュースを賑わすインバウンド需要も、その恩恵に与るのは都市部と有名な観光地ばかり。「インバウンドよりも国内のお客様のほうが、大きな割合を占めています」と青木さん。また地方都市の中には、団体旅行から個人旅行へという変化や、見るだけの観光から体験を重視した観光への移行といった、旅行業界の流れに対応できていない地域も少なくないそうです。
こうした中で山形市が取り組んでいるのがDMO(Destination Management Organization)です。観光庁ではDMOを「地域の『稼ぐ力』を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する『観光地経営』の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協働しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整的機能を備えた法人」と定めています。山形市でも上山市、天童市との連携で2015年にDMOがスタート。さらに翌2016年には法人として観光プロモーションやブランディングを行っていくDMC(Destination Management Company)、おもてなし山形株式会社も設立。現状でDMOとDMCの両輪で観光振興を行っている都市は山形市のみなのだそうです。青木さんはこうしたDMO、DMCの設立を推進。こうして整えた体制で、これまで旅行会社などが行ってきた旅行商品の企画から販売、そして実際の来訪による精算までの流れを、行政が支援する形でDMO・DMCが運営していくことを目指します。

「もちろん、山形市の観光振興にはまだまだ多くの課題があります」と青木さん。魅力ある旅行商材の継続的なブラッシュアップ、観光による地域経済の活性化、そして財源の確保や民間事業者が積極的に参入できる環境の整備など。まず、この仕組みをトータルに任せられるプロデューサー的な人材が必要なのだそうです。
講演終了後の質疑応答では「少子高齢化社会では、できることも限られてくるのではないか?」、「先週、ジャルパックの方から和歌山県との協働によるワーケーションに関する話を伺ったが、山形市ではワーケーションについてどう考えているか?」といった質問が青木さんに寄せられました。

この日の講演を担当した学生に話を聞いてみました。
「DMOという言葉は授業で習っていましたが、実際に担当している方のお話を伺うことができて、よく理解できました」。
「1年生などはDMOについての理解が浅いと思ったので、観光協会との違いなどについても触れて下さいと依頼時にお願いしました」。
「ご自身の経験を活かして地域振興をしているんだなと、お話を伺って感じました。熱意が強く伝わってきました」。
「今日のお話を受けて自分たちでもプランを考えていくわけですが、まずは山形のことをもっと知らなければいけないと思いました」など、依頼時のことからこれからの課題まで、さまざまな感想を聞くことができました。

最後に香取先生から、「今日はDMOに関するお話を、実際に担当されている青木さんから伺うことができました。山形といえば芋煮が有名ですし、もし芋煮を観光に取り入れるなら、私はビートルズが来日した時のように伝統的な日本文化を体験するものとして法被(はっぴ)をプレゼントしてはどうかと考えたりします。けれども若い皆さんなら、テーマパークのアトラクションのように、参加している様子を撮影し、その写真をプレゼントするといった風に考えるかもしれません。そうした柔らかな発想で、どれだけイメージできるのかが大切だと思います」と学生たち話しました。
青木さんのお話の中にも、「観光でも何でも、ビジネスは若い人へのアプローチが大切。若い人の気持ちを掴めば、その人たちが親世代になった際に子供へと自然と伝わっていきますから。かつての賑わいをなくしたスキー場を見ても、そのことを強く感じます」といった意見がありました。今回のテーマに関しても、若い発想で、新たなマーケットを創出するようなアイデアを提案してほしいと思います。

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