観光の力で地域活性化を目指すには。観光学部香取ゼミの学生がANA総合研究所の方を招いて講演会を開催しました。

2018.12.19

観光学部の学部長でもある香取幸一教授のゼミナールでは、10月11日(木)から三週にわたり、旅行や観光に携わる企業や行政の方をお招きし、大学教育棟 2014のアカデミック・スクエアを会場にして、講演を行っていただきました。講師のアポイントや事前準備などを学生が担当。学生たちは、担当した企業や行政の方の講演内容を基に、自分たちで意見や考えをまとめ、学期末にプレゼンテーションを行うことになっています。

三週目となった10月25日(木)は株式会社ANA総合研究所の弓野克彦さんをお招きし、「観光の力で地域活性化を 〜ANAグループの地域活性化の取り組み〜」というテーマでお話しいただきました。この日の講演でも香取ゼミの3年生の他に、ゼミ生が声をかけた観光学部の1年生も参加。中には三週続けて聴講に来た1年生もいました。
ANA総合研究所はANAグループで培ったノウハウを活かし、「地域活性化」、「調査・研究」、「人材育成」といった分野での支援やソリューションを行っています。

今回の講演で、弓野さんはまず日本の観光市場の特性について話してくださいました。世界において観光GDPの成長率は4.6%。これは世界全体のGDP成長率3.0%を大きく越えています。日本でも観光GDPの成長率は3.4%で、やはり国内GDP成長率1.7%の倍の規模を誇ります。こうした中で日本は2007年に観光立国推進基本法が成立。観光振興に必要な4条件は「自然」、「文化」、「食」、「気候」ですが、「日本は、これらをすべて備えている数少ない国なのです」と語る弓野さん。こうした背景もあり、日本はアウトバウンドからインバウンドへと方向を転換していきます。その一方で20世紀後半に作られた観光のスキームが、21世紀には通用しなくなってきました。ハードの老朽化や陳腐化、消費者ニーズの多様化といったこともあり、観光を誰がマネジメントするのかが重要なポイントとなっているのです。そうした中で今求められているのは、観光業界以外も観光客をもてなす「観光地経営」の視点。そのために必要な組織的な活動やプランについて、弓野さんは語って下さいました。

そして、実際にANA総合研究所がどのような取り組みを行っているのかも弓野さんは説明。現在、26の自治体と地域活性化支援契約を締結し、ANAから人材を派遣。地域活性化に向けた取り組みを行っているそうです。
「ONSEN・ガストロノミー・ツーリズム」は、そんな取り組みの一例として紹介されました。ガストロノミー・ツーリズムとは欧米を中心に世界各地で実施されている、地域に根ざした食やその背景にある自然・歴史といった魅力に触れることを目的としたツーリズムのこと。この手法を用いて、日本でも「食と温泉」という地域資源を活用した観光振興および地域活性化を各地で目指し、これを世界に向けて発信していきます。2018年には地域特性を活かしつつ、全国25の地域でウォーキングを交えたイベントを開催するなど、活発な活動を展開中です。
この他にも「日本遺産を活用した地域活性化事業」、「バードウォッチングによる地域活性化」、「ニセコ・倶知安地区の長期滞在型観光の推進」などの取り組み事例が紹介されました。
そして講演の最後に、学生に向けて「特定地域の交流人口を拡大できる観光素材の仕組みを一つ上げ、出来ることは何かを考える」という課題が出されました。

講演後の質疑応答では「ONSEN・ガストロノミー・ツーリズムに、これまで外国人客が参加したことは?」、「従来の旅客機での機内販売は、主に日本人客をターゲットにしていたが、訪日客向けの商品開発は進んでいるのか?」、「欧米からの観光客を増やそうと思った際に、中国や韓国といったアジアの観光客との間に違いは生じているのか?」といったかなり具体的な質問があり、その一つひとつに弓野さんは丁寧に答えていました。

最後に、この日の講演を担当した学生にも話を聞いてみました。
「まだまだ知識が足りないと思いました。まずはいろいろな地域にどのような観光資源があるのかを調べたい」。
「外国人の目線ということを意識すると、今まで気にしなかった街の中にある魅力が、見えてくるのかもしれないと思いました」。
「観光資源が何もない地方都市の出身なので、そうした場所にどんな魅力が眠っているのかを探ってみたい」。
「私は逆に、地元が鎌倉や江ノ島などがある湘南。なぜ観光客が集まるのかを改めて考えてみたい」。
「自分が実際に旅に出て、何が楽しかったかを体験してみることも重要なのではないかと思いました」。

こうして、三週間にわたった外部の方による講演は終了しました。現在の旅行業界で話題となっているテーマや、行政や企業との取り組みなど、普通ではなかなか聞くことのできない内容ばかりで、学生たちにとっても大きなプラスになったことでしょう。けれども学生たちにとっては、これからが本番です。今回の講演の内容を受けて、これから各グループで提案内容をまとめていかなければなりません。プレゼンテーションの予定は来年の1月です。その発表の模様は、また改めてお伝えします。

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