小田急電鉄との産学連携による調査研究に関して、学生による中間発表が行われました。

2015.04.22

今年1月に、玉川大学と小田急電鉄株式会社は、「連携・協力に関する基本協定」を締結しました。これにより玉川大学では、学内で小田急電鉄との産学連携事業を公募。各学部からさまざまな研究活動の提案がありましたが、その中から採択されたのが、工学部マネジメントサイエンス学科の人間工学研究室(阿久津正大教授ゼミ、現在はエンジニアリングデザイン学科)による研究「利用者の列車乗降行動と乗降意識からみた分散乗車促進策の検討」でした。その中間発表が、小田急電鉄株式会社CSR・広報部の方をお招きし、4月9日に大学教育棟 2014にて行われました。

この研究では、私たちが駅で列車の到着を待つ際に、改札や階段の近くといった特定の場所に集中することがあります。それは目的地の駅の出口に近い場所といった明確な理由がある場合もあれば、「仲間と一緒にいて、何となく」といった場合もあります。いずれの場合も乗降客が一か所のドアに集中すると乗り降りに必要以上の時間を要し、結果として列車の安定運行に支障を来すことにもつながります。こうした状況は鉄道各社においても課題の一つとなっていますが、これまで学術的な根拠に基づく調査・研究はほとんど行われてきませんでした。

発表を行う阿久津ゼミの学生

そこで今回阿久津ゼミでは、小田急電鉄の協力を得て調査を実施。学生たちが日頃利用している玉川学園前駅で、ラッシュ時に混雑する車輌・ドアの調査と、その乗車待機行動の調査を行いました。調査方法としては、まず目視により混雑するドアを特定し、そのドアの乗降者数と乗降時間を計測。さらにホームで列車を待つグループの人数や待機方法、乗車待機場所を決めた理由などをヒアリングします。この調査は小田急電鉄の担当者にもサポートいただきながら、阿久津ゼミの学生たちが実施し、この日の中間発表も、調査を行った学生たちの代表4名が行いました。

上段がグループの時、下段がひとりの時の乗車待機位置

学生たちはパワーポイントを使って、調査方法やその結果を発表していきます。列車の乗降時間は各駅ごとに秒単位で決められていますが、実際に調査を行ってみると、ラッシュ時には乗り降りに決められた以上の時間がかかっていることが分かりました。特に玉川学園前駅では改札へと向かう階段に近いドアを利用する乗客が多く、その近辺のドアでの乗り降りに時間がかかってしまうことも分かりました。また学生などのグループがホームのどの辺りで列車を待つのかを調査したところ、グループの人数が多いほどホームの階段付近に集中する、つまりホーム内での移動が少ない傾向にあることも明らかになりました。

ホーム上での移動距離を測る器具

こうした学生たちの発表を聞いて、小田急電鉄の社員の方からは「ある程度予想された結果ではあるが、明確な数値として結果が出たことで、今後の方策を考える際の重要な資料となるはず」「お客様へのヒアリングは、会社としてはなかなか踏み込めない部分で、とても参考になった」などの感想がありました。また、「発表の仕方が、驚くほど上手」といった意見もありました。学生たちは前日の深夜まで発表の準備をしたそうですが、その頑張りが評価されました。

今回の調査及び発表を担当した塙悠希さん、見元梨奈さん、河野春奈さん、畑山沙菜さんからは、「ホームでの移動距離とグループの人数に相関が見られたが、『どこで乗るのか』という意識の部分も大きいと感じた」「統計などは授業で学ぶだけでなく、実際に使うことで深く学ぶことができた」「玉川学園前駅のホームは構造上、階段近辺のスペースが広いので、自然とそこにとどまってしまうのではないか」「実際に調査をしてみて、自分自身も分散乗車を心がけなければと思った」といった意見が聞かれました。

今回の研究を指導した阿久津 正大 教授

また阿久津教授は、「教育活動にとって、今回のような産学連携は学生が研究に参加する上でも非常に役立ちますね。特にこの産学連携は、提携先が学生にもとても身近な企業だったことも良かったと思います」と語ってくれました。
今回の発表は中間発表であり、調査はこれからも続きます。そして、その調査結果をもとに、阿久津ゼミから小田急電鉄に、分散乗車促進策を提案する予定です。今後の経過についても、ホームページでお伝えしていきます。学生たちの研究成果をぜひご期待ください。