星野あゆみ先生国際バカロレア(IB)認定校等数200校達成

2023.04.17

文科省が3月28日に、目標であった2022年度中の国際バカロレア(IB)認定校等数200校を達成したと発表しました。3月14日現在、207校に達しているとのことです。まだ日本の学校のIB認定校数が片手で数えられた2013年に国際バカロレア機構と文科省が協力協定を結んでから10年。多くの関係者のご尽力でカリキュラムマネジメントされた探究学習、概念理解学習、協働学習などIB教育の特徴が広がりつつあるのを実感します。IB認定校等の数が200校を超えるまでの10年間は、認定を目指す学校が、教育のあるべき姿を探究する努力をした10年間だったとも言えるのではないでしょうか。

ところで、IBの公式ウエブサイトで調べてみると日本国内の認定校数を検索すると106校、プログラム数156と出てきます。200校を超えていません。実は文科省の数字は認定校等数でIBが発表している認定校数とは異なります。文科省の認定校等数には認定校と候補校が含まれています。また同じ学校で複数のプログラムを実施している場合の校数はその分増やして数えています。

数の数え方はともかく、認定校を目指す学校が増えていることに間違いはありませんが、認定を目指す学校の種類が変わってきました。長く日本での認定校はインターナショナルスクールが多かったのですが、この10年間で内訳の逆転現象が起きました。認定校106校のうち学校教育法第1条に定められた学校、いわゆる一条校の認定校数は57校、インターナショナルスクールは49校と逆転し、ディプロマプログラム(DP)に関しては、一条校42校、インターナショナルスクール25校となり大幅な逆転が起きています。また、これまで「インターナショナルスクール」とは非一条校のことを指していましたが、非一条校の中に保育所やこども園が入るようになってきました。分類方法も時代に即して変えていく必要がありそうです。

【表】日本国内のIB認定校数

(出典:IBウエブサイト資料から筆者作成)

全国の認定校数106校は23都道府県に点在し、まだいわゆる「IB空白県」が半数残っています。また、IB校があっても「ポツンとIB校」の状態の地域もあり、IB教育の接続、IB一貫教育に課題が残っています。地域のモデル校としてだけのIB教育推進ではなく、地域全体での推進も実現したいところです。

IB教育を推進する中でIB教員養成も進んできました。世界16か国にIB教員認定証を取得することが可能なプログラムを持つ大学(IBEC大学)が56大学ありますが、本学は日本初のIBEC大学として2014年にIB教員養成を始めました。その後、国内7大学がIBEC大学となり、日本国内のIBEC大学数は8大学です。日本はアメリカ9大学に次ぐIBEC大学の数です。IBEC大学で学び直したいという需要はありますが、現職の教員の学び直しを支援する制度が日本の学校には十分ではないのが残念です。

この10年を振り返ってみましたが、この先の10年でどのような発展があるでしょうか。キャリア関連プログラム(CP)の認定校が誕生し、地域全体での包括的なIB一貫教育の導入が進み、探究学習がどの教科、どの授業でも日常的に当たり前に行われるようにIBEC大学の一員として玉川大学大学院教育学研究科IB研究コースは、よりよい世界の実現に貢献して行きます。

参考資料