森山先生:教師と感性Vol.4:情報モラル教育の充実と家庭・地域との連携

2015.08.14

1. 情報社会における情報モラル教育の必要性

我が国における社会の情報化は大きく進展し、スマホ、パソコンなどを通したインターネットの過度な利用等によるところのネット依存、ネット被害、ネット上の犯罪、ネット上への不適切な投稿による問題など、情報化の「影」の部分が大きな課題となっています。
学校教育においてはタブレットPCの導入・活用が進み、それは学習環境に大きな変化をもたらし、学習の効率化、ICTの特長を十分に生かした授業展開がみられるようになりました。
児童生徒間においても、スマホ、SNSの急速な普及により、児童生徒の生活そのものにもさまざまな影響が出ています。具体的にはネット依存による生活リズムの崩壊や、学習時間の確保にも大きな影響を及ぼしたりと、好ましくない状況が頻出しています。
2015年2月、内閣府の「青少年インターネット利用環境実態調査」によれば、小学生から高校生までのネット利用時間は1日平均で2時間23分になることが示されました。また、60%を超える高校生がスマホで2時間以上ネットを利用している現状が明らかにされています。さらにネットいじめについては、現在、生徒指導上新たな喫緊の課題となっています。
児童生徒の所有状況については平成25年度の「青少年インターネット利用環境実態調査」の結果によれば、小学生13.6%、中学生47.4%、高校生82.8%という、高い所有率であり、高校生においては8割を超えている状況です。
このような現状のもとで、ICTが今後も急速に進展を続ける我が国の社会において、児童生徒に「情報モラル」に関しての指導を行うことは、現代の教育上重要な点となっています。
ここで「情報モラル」とは、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領解説総則編及び道徳編によると、「情報社会で適正に活用するための基となる考え方や態度」のことであり、その範囲については、他者への影響を考え、人権、知的財産権など自他の権利を尊重し、情報社会での行動に責任をもつこと、危険回避など情報を正しく安全に利用できること、コンピュータなどの情報機器の使用による健康とのかかわりを理解することなどが含まれています。
このため、児童生徒の発達の段階に応じた体系的な情報モラル教育に取り組まなければなりません。さらに、情報モラル教育の実施については、学校全体で組織的、体系的に取り組むことが重要です。学校としての組織的対応によって、教職員が現代の情報化の進展に十分対応し、その中で保護者の協力を求めるといった方向ですすめられなければならないのです。

2. 情報モラル教育における学校体制と家庭・地域との連携

情報モラル教育の推進にあたっては、さきに述べたように、学校全体として取り組むことが大前提であることは言うまでもありませんが、学校内の体制づくりが明確になっただけでは情報モラル教育の充実はのぞめません。
現状からみて、児童生徒がスマホやパソコン等を通してインターネット上のトラブルに巻き込まれたり、関わったりする状況の多くは、保護者自身が契約内容や児童生徒の実際の利用状況などを、十分に理解していなかったことに起因しています。また、保護者のICT教育についての認知度もまだ高くはありませんが、一方では、ICT教育にマイナス面や不安を感じている保護者は数多く存在するといわれています。
このような中、まず第一に学校と家庭における理解の共有が図られなければ、情報モラル教育は充実していくことはないでしょう。
さらには、情報モラル教育が効果的なものとなるためには、学校・家庭・地域が連携して、定期的に情報モラル教育に関する最新情報についての共有を図ったり、全体として取り組むイベント等を開催することなどを積極的に進めることが必要です。