神奈川県の「県立高校の将来を考えるシンポジウム」に参加しました

2014.05.27

5月24日、神奈川県立横浜平沼高校小ホールで「県立高校の将来を考えるシンポジウム」が開催されました。テーマは「県立高校の将来を考える」です。当日は、「今後の高校教育の方向性について」というテーマで基調提案をさせていただきました。また、その後のシンポジウムにも参加させていただきました。
神奈川県では、高校生が1970年の5万5千人から1988年には12万2千人へと急増しました。これに合わせて1973~1987年で公立高校を100校新設しました。その後生徒数は6万4千人(2006年)へと減少し、高校数も167校から25校縮減され、142校となりました。生徒数はしばらく維持されますが、その後緩やかに減少していく予測です。
そうした中で、2013年8月に神奈川の教育を考える調査会が「最終まとめ」において、県財政が危機的状況にあることが明らかにされました。神奈川県に限らず、多くの県がは厳しい財政状況に置かれています。そうした中で、どのようにメリハリのある高校改革を進めていくことができるのかが議論されました。
議論の中で、ちょっとした支援があればうまくやっていける生徒のための手厚い支援を行う学校の重要性が指摘されました。神奈川県では「クリエイティブスクール」と呼ばれる高校が3校設置されています。また、高校生の進路を保障することも重要です。各県でも進学に力を入れる高校が指定を受け、教員を多く配置したり、予算を別途つけたりといった施策が行われています。神奈川県でも「学力向上進学重点校」が18校指定されていますが、その成果が注目されます。
更には、中堅校の在り方も問われています。これまで国は高校の多様化政策を進めてきましたが、中学生からは「高校の特色がみえにくく、選びにくい」という声もあります。魅力のある高校づくりは、どのように進められるべきかを真剣に議論する時期が来たといえるでしょう。
高校政策については、国立教育政策研究所が平成26年3月に報告書を取りまとめています(「高等学校政策全般の検証に基づく高等学校に関する総合的研究」)。この研究にも参加させていただき、中高一貫教育の部分を執筆させていただきました。合わせてご参照下さい(http://www.nier.go.jp/05_kenkyu_seika/seika_digest_h25.html#h25_2_1)。

(教授 坂野慎二)