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世界を知ると同時に、自分を知る。今年もたまがわ会議(TAMAGAWA CONFERENCE)が開催されました。

2016.08.08

9年生から12年生が所属する「玉川ラウンドスクエア実行委員会」。ラウンドスクエアとは世界各国の90校を超える私立学校で構成される連盟で、日本では玉川学園が唯一の加盟校となっています。年に1回の国際会議では世界中の加盟校から生徒が集まり、議論をしたり講義を聴講します。ただ、この国際会議に参加できるのは5名前後と人数が限られるため、国際会議に参加した生徒が中心となり、多くの生徒が同様の体験をできるよう、玉川学園では2013年から日本版プログラムをスタートさせました。それが「たまがわ会議(TAMAGAWA CONFERENCE)」です。第4回となる今年度は、7月14日(木)から16日(土)の3日間かけて行われ、9年生から12年生の約120名が参加しました。

今回のテーマは「Japan that makes us」(私たちの国、日本)。ラウンドスクエアには「IDEALS(Internationalism:国際理解、Democracy:民主主義の精神、Environment:環境問題に対する意識、Adventure:冒険心、Leadership:リーダーシップ、Service:奉仕の精神)」と呼ばれる6つの教育の柱がありますが、この中の国際理解をするにあたり、まずは自分たちのことをもっとよく知ろうということから、今回のテーマとなりました。このテーマに沿って、Barrazaと呼ばれるディスカッションや、模擬国連などのプログラムが行われます。ここではその中から2日目に行われたプログラムをご紹介します。

この日はユニクロなどを展開する株式会社ファーストリテイリングの安田徹さん、安倍由起子さんと、玉川大学TAPセンター長の難波克己教授をKey-note Speakerとしてお招きし、お話を伺いました。
安田さんは玉川学園・玉川大学出身。ファーストリテイリングに入社後は国内や海外でユニクロの店長を経験し、現在は総務部に所属。さらに「“届けよう、服のチカラ”プロジェクト」でも活動を行っています。同じく玉川大学出身の安部由紀子さんは相模大野ステーションスクエア店店長として働いていらっしゃいます。お二人による講演では、主にこのプロジェクトについて語っていただきました。「そもそも、どうして私たちは服を着るのでしょうか?」という安田さんの問いに「身体を守る」「気分がアガる」「常識、礼儀として」など、さまざまな意見を出す生徒たち。「そうですね、他にも『職業や役職を表す』『個性を出す』といったこともあると思います。そしてユニクロが服を届けたいと思っているのが、難民と呼ばれる人たちです。」と安部さん。ここで再び、生徒たちに「難民と聞いてどんなイメージを持つか」と問いかけます。「国を追われた人」「貧しい人」…。そんな生徒の答えを聞いた安部さんは「戦争や紛争などによって他国に逃れた人を難民と呼んでいます。世界には6000万人以上の難民がいるといわれ、決して貧しいのではなく、その多くは普通の生活をしていたのに、突然その生活が奪われてしまった人です。そして難民の50パーセントは子供だともいわれています」と解説しました。「生きていくためには衣食住が不可欠ですが、ユニクロは着るものが足りなくなった人たちに服を届けたいのです。一人ひとりに手渡した瞬間にこぼれる笑顔。ユニクロが届けたいのは服だけでなく服のチカラです」。
“届けよう、服のチカラ”プロジェクトでは、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)とのパートナーシップのもと、ユニクロの社員が全国の学校を回り、生徒たちに洋服のリサイクル運動に参加してもらい、集まった洋服を難民キャンプへと送り届けます。たまがわ会議に参加した生徒も、洋服を回収するための箱作りを行いました。生徒からは「難民の子供たちが喜ぶのはどんな服でしょうか?」「どの地域から優先して届けられますか?」「安田さんがこのプロジェクトに参加した理由は?」など、さまざまな質問が寄せられました。講演後、生徒からは「緊急度により難民にも優先順位があるなど、いろいろなことが分かった」「普段は特に気にせずに洋服を選んでいるが、そういうこともできない状況下にいる人が世界にはたくさんいると感じた」といった感想が聞かれ、難民問題を身近でとても大切な問題として捉え直すことができました。

続いて行われた玉川大学TAPセンター長、難波克己教授の講演では、生徒全員が輪になって座り、プログラムを体験しました。TAP(Tamagawa Adventure Program)は、ドイツの教育哲学者クルト・ハーン氏が提唱したアドベンチャー教育と玉川学園の全人教育を組み合わせたプログラムです。玉川学園が日本で唯一のラウンドスクエア加盟校となっているのも、TAPを行っていることが理由の一つとなっています。難波先生は、このアドベンチャー教育の第一人者です。これまでも多くの生徒にTAPを指導しています。今回も、生徒たちはさまざまな体験型プログラムに挑戦しました。二人一組で行うプログラムをパートナーを変えて何度も行うことで、面識のない生徒とも徐々に打ち解けていきます。楽しいゲームのような内容ですが、プログラム一つひとつには明確な意図があります。たとえば二人で1本のペンを使って絵を描いてみることで、自分と相手の持っているイメージの違いを認識する。また自分の心の中にある想いを書き出してみて、それがちゃんと周囲の人に伝わっているのかを考えてみる。「TAPではコンフォートゾーン(安心できる場所)から一歩踏み出すことにチャレンジします。それがアドベンチャーです」と難波先生。最後に「成長と安心は違います。不安を持ちながらも何かをやり続けることが大事。Your disability is your opportunity. 困難があるときは、成長するときなんです」と、生徒たちにメッセージを送りました。2時間におよぶプログラムは短くも感じられ、2日目を終了しました。

2日目のプログラムを終えた時点で、実行委員長の新井陽南乃さん(12年生)は「1日目はまだ生徒同士が打ち解けていなくて静かな会議でしたが、徐々に活発になってきていると思います。明日も引き続きTAPなどのプログラムがあるので、より積極的になってもらいたいですね。今回は世界をめざす上で、まず自分自身に目を向けようということをテーマに取り組んでいます。ここで吸収したことをこれからの毎日に活かしてほしいです」と語ってくれました。
新井さんは昨年シンガポールで行われたラウンドスクエア国際会議に参加し、そこで経験したことを多くの玉川学園の生徒にも体験してもらいたいと思い、委員長に立候補したそうです。国際的な視野だけでなく他者への理解や意見の発信など、普段の授業とは違う形で多くのことを学べるたまがわ会議。二学期からは新たな意識で、チャレンジすることができるのではないでしょうか。

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