松本先生Vol9:いわゆる協同的な学習の問題点(1)

2016.10.07

文部科学省は、新しい学習指導要領を貫く基本的なあり方として、注目を集めているアクティブラーニングを位置付ける方向であり、すでに次のような定義を示している。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

しかし一方で、次のような注意喚起が早くもなされている実態がある。

…アクティブ・ラーニングなどを推進するに当たっては、深い思考力等を育むという本来の目的から離れて、特定の型どおりに指導するといった硬直性を生んだり、すでに積極的に取り組んでいる学校の足かせになったりするなどの弊害を生まないよう留意する。

どうしてこのような注意喚起をしなければならないのか。最近では「深い学び」が強調され、新学習指導要領で表立って「アクティブ・ラーニング」という用語が使われるかどうかさえ不透明になっている。その問題点を事例によって考えていきたい。