授業レポート「ELF研究」(英語教育専攻 2022年春学期)

 大学院に進学する主な理由の一つとして、学部生時代に行った研究を継続したいというものが挙げられるのではないでしょうか。私自身も卒論で取り組んだ研究内容をさらに発展させたいという気持ちから、大学院に進学しました。卒論では、英語が当たり前のように日本語の中でカタカナ語として多用されている現状について考え、「カタカナ英語が日本語として判断される基準には何があるのか」という問いを立て研究しました。現在は、そこに大学院での日々の授業から得た新たな視点や知識を加えながら、どのように自身の研究を発展させられるのか考えています。

授業の様子

 この授業名にもなっているELF(English as a Lingua Franca)ですが、玉川大学に入学するまではELFという言葉を聞いたこともありませんでした。しかし英語教育学科で学び文学研究科に進学した今は、研究を行う際にELFは無視することは難しい重要な要素の一つだと考えています。実際、私は研究テーマ設定の際に影響を受けました。そんなELF研究では、ELFだけを扱い、学んでいくわけではなく、ELFにプラスして、現実世界で繰り広げられる事象を説明するために言語と文化、アイデンティティ、コミュニケーションや他の理論など様々な要素と関連させ学んでいきます。そのため、ある意味自分の研究に応用できるかは自分の努力次第ですが、自分の研究には全く関係がないと思うようなことは決してないと思います。
 学部と大学院の授業は多くのことが異なりますが、ただ単に学部より難しいことを扱っているというわけではないと感じています。学部ではディスカッションなどはあったとしてもある程度講義のような形になることもありますが、大学院の授業では先生方と一緒に授業を作り上げていく感覚に近く、そのため準備もかなり必要です。しかし、それぞれが自分のために準備を行い授業に臨むので、研究しているものは違っても、大学院の授業は個人にとっての学びが保証された場になっていると感じています。

授業の様子

(文責 英語教育専攻 A.T.)

 「ELF研究」は2022年度からカリキュラムに導入された科目で、初年度は5名の学生と授業に取り組みました。英語を付加言語として修得・活用している人々を中心に行われている共通語としての英語(English as a Lingua Franca、ELF)でのコミュニケーションは、現在、無視することのできない世界的な言語現象となっています。本授業では、この現象を理解するために必要な基本的な、しかし実際は非常に複雑で抽象的である、言語・文化・コミュニケーションといった概念をテキストを用いながら学修しました。授業の多くの時間をテキスト理解とディスカッションに費やしましたが、ディスカッションでは個々人の経験を超え、これらの概念を使ってどのように目の前の現象の真髄に迫れるか試みました。その試みは十分であったとは言い難いかもしれませんが、院生たちと様々な視点から意見を交わすことで、授業担当者としてだけでなくELFの研究者としても刺激を受けました。学生たちと「学びの場」を共有できることは、教員にとっても大きな喜びだと感じています。

(ELF研究授業担当者 鈴木彩子)