開講科目

導入科目

アカデミック・リテラシー(2単位)

人間の営みを分析していく研究方法として、人間の意識や行動を数値化して検討する量的研究がある。具体的には、研究仮説の立て方、仮説に対応したデータの収集の仕方、データの数値化とデータに対する統計処理の仕方、また研究目的や仮説の観点から統計処理の結果を解釈・考察する仕方、論文への記載の仕方、などを本科目で扱っていく。本科目を通して、論文を作成する際に必要な量的研究の基礎的知識を獲得し、各自が研究を効果的に遂行できるようにする。また、他者の研究についても批判的に検討することができるようにする。

ELF500(2単位)

ELF 500 This course is designed to develop students’ academic literacy in English. Students are expected to acquire skills necessary for academic presentations as well as writing in their areas of specialty. It is primarily designed for 1st year graduate students of Humanities, although graduate students in other disciplines as well as qualified undergraduate students may enroll with permission.

応用言語学研究(2単位)

複合的学問領域である応用言語学を通時的、共時的に概観しながら、その中での英語教育の位置づけを確認したうえで、英語教育をテーマとした研究論文をいくつか取り上げ、リサーチデザイン、データの収集と整理、データの分析(量的分析と質的分析の目的の違い)に注目し、修士課程での研究テーマの設定の準備を行う。

専門科目

英語教育研究(2単位)

英語教育に関する研究を深めるために、多様な角度から英語教育の問題点や課題を洗い出し、それぞれの原因と解決策、および研究手法について概説し、今後の発展的な研究への橋渡しを行う。英語教育は時代や社会の要請によって、そのあり方や力点が変容することもあるため、学習指導要領を論拠とするなどして、できる限り現代および今後の英語教育に直接寄与するという観点から授業を展開する。扱う項目として、英語教育の歴史的考察、言語観・言語教育観、英語教育の目的論、教授法・指導法の種類と特徴、学習理論と動機付け、などがある。

現代英語研究(2単位)

現代英語の特徴と位置づけを明確にするために、英語を様々な観点から分析する。まず現代言語学の枠組みに基づき、規範的アプローチと記述的アプローチの違いを中心に、主な言語学の理論を理解した上で、英語の音韻、語彙、文法、意味、言語変種について概観する。その際に、英語教育を行う上で重要と思われるいくつかの事例を取り上げて問題点と課題について議論する。研究に当たっては、共時的な観点だけではなく、通時的な観点をも適宜交えながら、現代英語への理解をより深いものとする。

言語獲得研究(2単位)

言語の知識や運用能力はどのように身につけられるのか、その獲得・発達の過程とメカニズムを文献購読により研究し、特に英語の母語の獲得に関する理解を科学的な視点から深めることを目的とする。取り上げるテーマは、音声言語獲得、語彙獲得、文法獲得など幅広い分野を扱う。言語獲得の過程における、母子相互作用や環境、学習との関わり、第二言語習得との違いなど、様々な視野で、乳幼児から小学生までを対象にデータを収集し研究を体験することで、実践的に研究する訓練を行う。

言語使用研究(2単位)

現代社会において、言語が実際に使用される様々な状況に焦点を当て、言語の使用目的と使用場面の事例を挙げながら、それぞれの言語使用がどのような特徴を持ち、どのような影響を及ぼすかについて論ずる。まず語用論、会話分析、スタイル、レジスター、ディスコースなどの基本的概念と研究手法を確認した後、教育、学術、法律、医療、マスメディアなど領域別の言語使用、さらにそれらの背景にある思想について事例研究を行う。その際に日本語との比較をとおして英語の持つ特殊性や独自性についても明らかにしていく。

認知意味論研究(2単位)

認知意味論は、「人間」と「世界」と「言語」という3項関係の中で言語現象を捉え、身体性や知覚、概念形成といった、伝統的な意味論の中心課題にはなり得なかった視点を取り込むことで、言語現象の背後に「意味的動機づけ」が働いていることを明らかにする学問分野である。本授業では、主に英語と日本語を素材として、認知意味論の視点から言語の意味世界を探究する。主な学修内容として以下を取り上げる。
1.概念形成論、カテゴリーとプロトタイプ
2.比喩(メタファー、メトニミー、シネクドキ)
3.多義性とコア理論
授業では、認知意味論に関する文献講読やディスカッションに加え、学修内容を教育現場へ還元するための手立て等に関するプレゼンテーションを行う。

言語教育政策研究(2単位)

世界のどの地域や国も言語問題を抱えており、国語、公用語、外国語などにおいての政策立案と施行が大きな課題になっている。ここでは主として、英米における母語教育や外国語教育、カナダに代表されるイマージョン教育、アジアにおける外国語教育政策などを範にしつつ日本の言語教育について理解を深める。日本の言語教育政策、特に英語教育政策を史的に概観しながら現代の英語教育の課題や可能性を追究していく。言語教育(ことばの教育)は英語などの外国語だけの問題ではなく、日本語も含めて学校教育の重要な課題であることがこの授業の基盤になっている。

英語授業演習(2単位)

英語教授法や指導法の理論を踏まえて、中等学校において実際に効果的な授業が行えるようになるための演習を行う。特に、以下の五つの分野において実践(プレゼン)を試みる。1.語彙指導法、2.音声指導法、3.読みの指導法、4.コミュニケーションの指導法、5.英語だけで教える指導法指導に当たっては、多様な授業案(lesson plan)の書き方、教材・教具の使い方、授業形態のあり方、などについても指導を行う。現場の授業を観察・体験したり、達人の授業と呼ばれるDVDを視聴したりすることも随時行いながら、授業力を向上させる。

入門期英語教育研究(2単位)

学校教育において英語教育が強化されるに伴い、入門期の英語教育が重要になっている。ここでは日本における教育環境と言語習得理論とを鑑みながら、効果的な指導のあり方を研究する。入門期においては多様な外国語活動が行われるが、言語習得の観点からみて特に重要なのが音声指導である。学習指導要領においても入門期において「音声などの素地」を育成することが重要であるということが謳われている。この授業では、入門期の指導法を総合的に押さえつつ、特に英語音声が段階的に確実に獲得できるようになるための研究とトレーニングを行う。

英語教材論研究(2単位)

外国語の教材には「教科書」からメディア教材にいたるまでさまざまなものがある。しかし基本はテキストと呼ばれる教科書である。ここでは、文部科学省検定済み教科書を基本に据えて、その理念や内容、使い方等について、体験をしながら理解を深める。また、教科書の題材、言語材料、言語活動、シラバスなどについても掘り下げた研究を行い、教材分析の視点や手法を学ぶ。受講者は小・中・高のレベルを想定して、一単元分の教材作成、それをもとにした授業案の作成、模擬授業、事後評価、といった教材と授業を効果的に関連付ける技量も修得する。

英語教育総合(2単位)

英語教員になるための資質、知識、技能を身につけるために英語教育を総合的な観点から研究する。取り上げる領域としては以下のようなものがある。

1.公教育における教員の要件と資質、2.英語教員に求められる知識と指導力、3.英語力と英語コミュニケーション能力、4.教員採用試験の実際 受講者は上記のそれぞれの観点において、必要な知識・能力を身につけると同時に、体験やシミュレーションをとおして高度な実践力を身につける。

多文化社会研究(2単位)

多文化社会で起こる言語が直接的あるいは間接的に関わる様々な問題を取り上げ、批判的アプローチにより分析し、それらの解決法を考える。扱う範囲は言語学を中心としながらも、必要に応じて教育学、社会学、社会心理学、倫理学、文化人類学、法学などにも言及する。ここでは、広義でいうディスコース、すなわちあるメッセージが発せられる時のその背景にある思想や価値観の研究を中心に、言語教育のあり方と社会との関係を論ずる。受講者にとっては当然と思われていることを批判的に再検証する習慣を身につけることが要求される。

英語科コースデザイン研究(2単位)

英語科の授業を実施するにあたっては教師の英語力や英語に関する知識、さらに授業力の向上が必要とされるが、今後は様々な制約の中で、教育環境に応じて柔軟に自分の授業をデザインする能力が必要不可欠である。 本講座では教育環境、教育政策、教育目標を分析し、リソースを有効利用しながら受講者が英語の授業と到達度の評価方法を1学期、1学年といった中長期な視野でデザインをできるようになることを目標とする。

英語圏文学・文化研究(2単位)

文学研究では、イギリス文学とアメリカ文学を中心に、英語による文学作品を読み、考察を行う。複数のジャンルの作品を扱い、文学の言語を読み解くことを通して、作品を分析する手法を会得していく。文学と言語研究・言語教育研究を関連づける視点を持つことも求められる。文化研究では、イギリス文化とアメリカ文化を中心に扱う。近現代の世界において文化の面でも言語の面でも大きな影響力を行使してきた英語圏の文化について、文学作品や映画、ジャーナリズムの文章などを題材として研究する。文化研究の課題をとらえることから、自文化を見る視野を広げ、言語教育との関係を考察する。

言語評価・テスト論研究(2単位)

言語能力を評価するということは何を意味するのか、また、そもそも人間の言語能力を評価することは可能なのかという議論を行いながら、評価の方法、言語テストの種類、テストの採点の手法などについて、理論的背景を概観した上で、実例を検証していく。また、日本の小中高で用いられている評価について、その手法や意義、問題点などを議論し、より良い評価とは何かを考えていく。

ELF研究(2単位)

英語は現在、様々な国際的な場面で共通語として用いられている。English as a Lingua Franca(ELF)という英語使用の現状を理解するためには、基礎的な言語学の知識から第二言語習得、社会言語学、コミュニケーション理論といった多岐に渡る知識が必要である。本授業では、これらの知識を確認・駆使しながら、実際にリンガフランカとしてどのような英語がどのように用いられているのかを、実証的研究を検証しながら追究していく。また、実証的研究から、今後の日本社会においてどのような英語教育が展開されるべきか批判的に考察していく。

実践科目

プレサービス・スタディーズA(1単位)

就業前に学外での現場体験を行い、必要な実践力を身につけることを目的とした科目である。プレサービス・スタディーズAは中等教育課程での教育実践の体験を対象とし、併設校と連携して、授業や教材作成の補助活動、そしてチーム・ティーチング等の実習を行う。実施に当たっては、計画書の提出、事前指導、事後指導および報告書の提出が義務付けられる。受講予定者は事前に所定の期間内に、計画書を提出し研究科会であらかじめ承認を得ておくことを必要とする。

プレサービス・スタディーズB(1単位)

就業前に学外での現場体験を行い、必要な実践力を身につけることを目的とした科目である。プレサービス・スタディーズBは近年ますます重要性を増している小・中の連携と関連した教育実践の体験を対象とし、併設校や近隣の小学校と連携して、授業や教材作成の補助活動、そしてチーム・ティーチング等の実習を行う。実施に当たっては、計画書の提出、事前指導、事後指導および報告書の提出が義務付けられる。受講予定者は事前に所定の期間内に、計画書を提出し研究科会であらかじめ承認を得ておくことを必要とする。

研究科目

研究入門(1単位)

英語教育研究で多く使われている手法について、テーマの設定、資料の検索、データへのアプローチ、データの収集、データの分析の三段階を網羅的に紹介したうえでデータの取り扱い上の留意点などを含む研究倫理、そして研究結果のまとめと発表について学び、最終的には各自のテーマごとに研究計画書にまとめることができるようにする。

研究指導(英語教育専攻)Ⅰ(2単位)

修士論文を執筆するための研究指導を行う。この科目はそれぞれの学生の研究指導担当教員が中心になって行われる。学生は、研究指導教員の指導のもとに研究テーマを確定して研究に着手する。研究に必要な文献や資料の収集、研究計画の立案、研究調査の実施、フィードバックなどを経て研究を進めていく。研究指導Ⅰは演習科目であり、毎週決められた時間に指導を受けなければならない。また、この科目が修了する時点で、論文の骨格を完成させておく必要がある。

研究指導(英語教育専攻)Ⅱ(2単位)

研究指導Ⅰに引き続いて修士論文を執筆するための指導を行う。研究指導Ⅰと同様に、この科目はそれぞれの学生の研究指導担当教員が中心になって行われる。研究指導Ⅱに着手するに当たっては修士論文の中間報告書を研究科に提出することが求められる。学生は、関連文献の更なる研究と共に、研究データの解析や整理を行いながら論文を完成させていく。修士論文は研究指導教員の指導を受けて完成し、指定された期日に研究科に提出する。