海馬歯状回顆粒細胞の情報統合

2014.06.23

私の研究の概要は、脳内の記憶形成において、位置等の空間情報が匂い等の非空間情報によりどのような影響を受けるかを解明することです。
脳の記憶には海馬という部位が重要であり、海馬の情報の入口を歯状回といいます。私の研究では歯状回を構成している顆粒細胞(GC)モデルを用いたコンピュータシミュレーションを行っています。研究方法はNEURONとMATLABという2つのソフトを主に使います。NEURONはシミュレータであり、先行研究から分かっている顆粒細胞の機能・構成を再現したモデルを、このシミュレータ上に構築しました。MATLABではこのモデルに入力する刺激を作成することと、NEURONによるシミュレーション結果の解析を行っています。

図1

具体的に入力する刺激としては、顆粒細胞モデル(GCモデル)のMedial Dendrite(MD)に位置等の空間情報の刺激を入力し、Lateral Dendrite(LD)に匂い等の非空間情報の刺激を入力しています。この刺激の頻度や間隔も先行研究から分かっている実際の入力を模して入力しています。現在ではこれらのLDとMDへの2つの入力に相関性の強度(LD・MDに同時に入力する割合)を変えてみるといったことも試しています(図1)。
このような研究を行うことにより、脳の記憶情報処理の解明に日夜挑んでいます。また研究室には大学院生も多いため、いつもお互いを刺激しながら、充実した大学院生活を楽しく送っています。

工学研究科 電子情報工学専攻2 年 舟崎 寛