脳科学研究科

脳科学で価値ある世界と「自己」を創造し、未来社会を切り拓く人材を育成

脳科学は、記憶、推論、創造といった認知機能、喜怒哀楽の感情、知性や感情を制御する意志といった心の働きを、脳の視点から探求する学問です。同時に、そうした心が身体運動を起こし、外界と相互作用することによって心が捉え返される過程を明らかにしようとします。さらには、自らの心の働きをメタ的に捉えた「自己」を認識し、世界との関係のなかで「自己」が形成される過程にまで脳科学は迫っていきます。近年では、人工知能(AI)やロボティクスの発展とも深く結びつき、教育、医療、福祉、産業など多様な分野での応用が急速に進みつつあります。脳科学の知見は、21世紀を代表する学問領域として、社会や経済、文化の発展に貢献することが期待されています。
心や「自己」を、個体をとりまく「世界」との関係の中でより深く捉えるためには、自然科学と人文・社会科学を架橋する学際的な視点が不可欠です。玉川大学脳科学研究科では、こうした文理融合型アプローチを通じて、脳科学のフロンティアを切り拓き、未来社会に貢献する人材の育成を目指しています。
本研究科の修士課程では、脳の情報処理、神経回路の仕組み、行動と心理の原理を探求し、人間の心と「自己」の理解を深め、社会に活かす技術者、教育者、研究者を育成します。博士課程後期では、修士課程で培った素養をもとに、人間の脳と心の科学的理解をさらに切り拓き、人類の知の地平を広げる研究を担う研究者、そしてその知見を社会に実装し、未来社会の創造に寄与する技術者を育成します。こうした教育・研究の一環として、AI・ロボティクスと人間理解の接点に挑む研究にも積極的に取り組んでいます。
玉川大学の「全人教育」の理念のもと、人間の可能性を科学的に支え、価値ある世界と「自己」の創造に寄与する人材を、ここから送り出してまいります。
脳科学研究科長 松元 健二