小原一仁先生第2回 研究テーマを探すには結婚式に参加しよう

2016.06.21

第2回目にして早くも脱線傾向が危ぶまれそうですが、今日は研究と結婚式について取り上げてみたいと思います。大学院で学ぶ立場にある間は、指導教官を始めとする様々な人たちの手によって過保護なまでに守られていたものの、晴れて研究者としてスタートを切ったその時から、実力を如何なく発揮できる人も多いかと思います。しかし、何一つ後ろ盾もないままいきなり研究の世界に放り込まれて、

行き詰まり 暗中模索 五里霧中

という人も少なくはないはずです。少なくとも、私はそうでした。
研究者としての人生をスタートさせた当時、私は、漠然とした研究のテーマは持っていたけれど、それをどのようにして形にすれば良いのか、その手段を考えあぐねていました。手当たり次第に・・・とはいうものの、一体何から手を付ければ良いのかが分からない。しかし、幸いにも素晴らしい共同研究者たちと巡り合うことができて、これまで研究活動を細々ながらも続けて参りました。
今回のコラムの表題にあるように、共同研究者の一人とは、玉川学園時代の同級生の結婚式で出会いました。共同研究者が同級生とはいえ、大学以降は別々の道に進んでいたため、この日再会するまでは互いに連絡を取り合ったことすらありませんでした。久しぶりに会う同級会的ノスタルジックな感傷に助けられてか、後の共同研究者となる人物と、二次会の席でお互いの研究について語り合う機会を持つことができました。彼は、金融工学を専門としており、一見高等教育(大学経営)という私の研究テーマとは相容れぬ仲のようにも思われました。しかし、当時、研究者として自分の足で立った活動を始めなくてはならないという焦りから、日本の大学院で手厚い指導を受けていて、研究者としてのノウハウを私よりも知っている人とコラボっちゃおうという安易な発想に至りました。無理矢理、金融工学と大学経営をリンク(格好良く、「学際化」)させる努力が、ここから始まったのです。この努力が結実したかは、ぜひ、私たちの執筆物にお目通しいただき、ご判断ください。
さて、結婚式に限った話ではないのですが、様々な人と出会える場で、人との繋がりを構築することが思わぬ収穫となること、そして、新しいアイデアを受容するために常に新しい情報にも門戸を開き、隙あらばそれをチャンスへと転換させる姿勢は、特に研究者としてのスタートを切ろうとする人たちに大切ではないかと、私は考えます。