教育学研究科教育学専攻の歴史

玉川大学・玉川学園の創立者小原國芳は、かねてから教育の「学も術も」兼備した大学院修了者を輩出し、教育界に新風を吹き込みたいとの願いを持ち続けていました。1971年4月、ついにその願いは新しい大学院修士課程の設置によって現実化への歩みを始めます。わずか3名の入学者からスタートしたこの修士課程こそ、現在の教育学研究コースの前身、「文学研究科教育学専攻修士課程」です。設置当初の専任スタッフは、教育哲学(三井浩教授)、教育史(戸川尚教授)、教育方法学(飯島篤信教授)、教育経営学(皇晃之教授)、教育心理学(須藤康男教授)の5名でした。西田幾多郎の愛弟子(四天王の一人)高山岩男も同じく京都(帝国)大学の先輩にあたる小原に乞われ、教育哲学の一講座を担当しています。高山は講座担当から5年の歳月を経て、1976年4月、体系的な著作である『教育哲学』(玉川大学出版部、1976年)を上梓します。その中で高山は「教育哲学執筆の縁を作ってくれた翁」、すなわち小原に謝意を表するとともに、「私は翁の全人教育の同感者であり、できれば翁が心血を注いだ玉川学園の異色ある教育方針に呼応して、異色ある教育学が栄えることを心から念ずる者である」と述べています。2006年4月、文学研究科教育学専攻は教育学研究科教育学専攻へと転換しましたが、創立者小原の、そして高山の願いを継承し、約半世紀に渡る歩みを続けてきたのが、この教育学専攻です。