寺本潔先生:観光(ツーリズム)は“感幸”に通じる新たな学び第2回 観光庁の動き

2018.11.26

架空の観光島のリゾート開発問題を考えるワークシート

喜ばしいことに観光庁で観光教育振興の動きがあります。今年、初めてモデル校の選定が行われたのです。全国でわずか2校(沖縄県の公立小学校と福島県の実業高校)だけですので緒に就いたばかりですが、観光の学びに対して国も支援してくれることになりました。わたしはその内、沖縄県の小学校を現在、アドバイザーとして指導助言していますが、これまでわたし自身が出前授業の形で開発してきた観光授業の教材コンテンツや指導法を全て提供することで指定校の研究が成功するよう支援しています(なお、詳細は拙著『観光教育への招待』ミネルヴァ書房発行を参照)。この小学校は、沖縄県庁近くにあり、観光客が多く立ち寄る国際通りが学区にあるため、児童の保護者も店舗経営者が多いと予想されます。親も自分の仕事に関わるテーマを子どもが学ぶことに対して応援してくれるのではとの期待も持っています。目下、児童自ら外国人観光客とも接しつつ、観光動向に関する簡単な調査をしてもらおうと計画中です。幸い、沖縄県では、県内の小学4年生全員に観光副読本『めんそーれー観光学習』(沖縄観光コンベンションビューロー制作)が配布されており、観光の学びに理解を示して下さっている先進地です。観光という実社会で大きく変化している事象をリアルに学ぶことで、国語や算数、社会や理科などの基礎学力も刺激されることでしょう。教科で獲得した見方・考え方を「観光の学び」で働かせることこそ成長への気づきを児童自身に抱かせる機会となることでしょう。