工藤亘先生(1)ファシリテーションの概観
2025.05.30


筆者の研究テーマの1つには「ファシリテーション」がある。ファシリテーションは、ビジネス・政治、社会活動・学術、自然・環境、生活、社会教育・学校教育、アート・芸能等の様々な分野で応用されており、定義も多様である。(図1)
1960年代ではグループエンカウンター等の体験学習が拡がり、それが教育系のファシリテーションとして現在まで続いている。同時期には、ワークショップや市民参加型のまちづくり活動へ拡大し、1970年代からビジネス分野で応用され始めている。特に21世紀に入った頃からビジネス界でも注目を集め、日本ではファシリテーションを専門的に研究する大学院の講座も開講されている。
ファシリテーションの定義は、応用分野等によって多様であるが、筆者は堀(2004)や森(2004)の考えを支持した上で、教育分野においては「知的・情緒的相互作用を支援・促進する働き」(工藤,2011)と定義した。またファシリテーションに関する先行研究では、ファシリテーションをリーダーシップに含まれる能力として捉えているものもある。
津村(2003)は、教育に関わる人物を吟味するために、2つの次元(「伝達・指示型教育と参加・対話型教育」・「コンセプト志向:成果・結果尊重とプロセス志向:心理関係的過程尊重」で考えている。(図2)教師には場面に応じた役割が必要になるため、常にファシリテータ―だけではないことがわかる。
参考文献
- 工藤亘「ファシリテーターの役割についての一考察-玉川アドベンチャープログラムを通して-」玉川大学教育学部紀要『論叢』2010、2011年、pp.17-26