田甫綾野先生台湾の幼児教育(1)―幼児園の概要

2026.06.05

さまざまなコーナーが設置された保育室(龍潭幼児園)

現在、教育学研究科の若月芳浩教授、大豆生田啓友教授、岩田恵子教授と共に台湾の幼児教育についての研究を行なっています。
今年の3月までに3回訪台し、のべ9つの幼児園、3つの子育て支援施設、2つの養成校を視察しました。

台湾は、2012年に幼保一元化しており、アジアでは最も早く2歳以上児の幼児教育を一元化しています。2歳以上は一元化施設である「幼児園」で教育を受けます。管轄は教育部(日本の文部科学省)です。一方で「托嬰中心」とよばれる0、1歳児を対象とした保育施設もあり、こちらは、健康福祉部(日本の厚生労働省)の管轄となっていて、年齢による二元制度は継続しています。田(2021)が、それぞれの教育課程、ガイドラインを比較し、そこに整合性やつながりは見られないと指摘しているように、2歳以上児と未満児との制度や保育内容の統一ははかられていません。
現在、日本の幼児教育は、幼稚園、保育所、幼保連携型認定こども園と3つの施設で、根拠法令等も3つになっていますが、保育内容の共通化がはかられていることと比較すると、台湾と日本の違いも見えてきます。

台湾の幼保一元化は子どもたちの通う施設が一つになったということだけではなく、保育内容も大きく変化し、子どもの主体の保育へとシフトしています。
これまで訪ねた施設は、台北市、新北市、桃園市の公立幼児園です。
幼児園の保育は園によってさまざまでしたが、各幼児園が、地域や幼児の実態に即した保育を行なっている様子が印象的でした。まとめると以下のような特徴が見られました。

  • 原住民の文化を重視した教育
  • 自然との共生/環境教育(SDGs)
  • 幼児の探究や科学的なものの見方を重視(STEAM)
  • 幼児自ら遊びを選択する環境構成
  • 多様性を視野に入れた保育環境
  • 地域資源の活用
  • 保育者の専門性の高さ

このように台湾の幼児教育の実践は、現在の幼児教育の世界的な流れを保育にとり入れているといえます。子どもたちが自ら遊び出せる環境を整え、子どもが主体的に遊ぶことでの学びを重視していました。プロジェクトなどの協働的な活動も見られ、子どもたちの興味関心に応じた保育が展開されていることがわかりました。

引用文献

田添禾(2021)「台湾幼託整合改革以降の動向と課題」『国際教育文化研究』Vol. 21, 2021. 11, 九州大学大学院人間環境学研究院国際教育文化研究会