寺本先生:地図力を子どもに育てよう!Vol.3:方向感と距離尺度で空間認識はつくられる

2013.12.02

発達心理学者の滝沢武久氏によると子どもの空間認識がきちんと構造化されるためには、方向感と距離尺度が獲得されなければならないと指摘されています。方向感はもともと自己中心的で、自分からどの方向に目指す場所があるかを知る感覚です。でも、自分自身が転回した場合には方向感が定まらずに混乱してしまうのも事実です。このことが、幼児や一部の女性が迷子になってしまう原因の一つにあげられています(例えば、地下鉄の改札口から地上に上がった直後に方向が分からなくなる混乱)。自分が向いている方向は、進むべき方向なのか、そこまでのおおよその距離はどれくらいなのか、といった全体がつかめる空間認識が頭の中に形成されていなくてはならないのです。地図読みの最初の入り口に立つには、自己を定位できる(例えば、曲がり角を曲がっても常に北や南を指し示すことができる能力)ことが必須です。そのためにも、おおよその方向感と距離尺度が不可欠です。方向音痴は人生音痴と言われないためにも、街を歩き回って経験知を高める必要があるのです。
(教授 寺本潔)