近藤先生:子どもの健康と成育環境についてVol.2:女性の社会進出と男性の育児参加

2014.01.14

前回に引き続き、幼児健康度調査の結果から全国の子どもたちの親の状況や経年的な変化をとりあげてみたい。

母親の就労率はやや増加

母親が働いている割合は、幼児全体で1990年36%、2000年36%、2010年39%とこの10年で3%の増加がみられている。1歳30%、2歳36%、3歳41%、4歳47%と子どもの年齢が上がるに従って就労率は高くなり、5-6歳では53%となり半数を超えている。就労形態はパートタイム(43%)、常勤(38%)、自営業(8%)の順に多く、この10年間で常勤の割合に減少傾向がみられている。

保育所利用は低年齢で増加傾向(グラフ参照)

子どもを保育所(認可保育所、認可外保育所、認証保育所など)に預けている割合は、幼児全体で1990年17%、2000年23%、2010年29%と増加している。特に、低年齢で増加率が高く、1990年と2010年を比較すると、1歳では7%から19%、1.6歳では10%から24%、2歳では13%から30%へと各年齢で2倍以上の増加がみられている。
母親の就労率はそれ程大きく変わっていないのに対して、保育所を利用する割合が増加し、長時間保育を受ける子どもたちが多くなっていると考えられる。この背景には、女性の社会進出の他に、核家族化や地域のつながりの希薄化などのために、家庭外に保育を委託せざるをえない傾向が進んできていることがうかがわれる。

進む父親の育児参加(グラフ参照)

父親の家庭での状況について、3つの項目をグラフに示した。「お父さんは育児をしていますか」という質問に「よくしている」と回答した割合は1990年36%、2000年38%、2010年43%と増加している。「お父さんはお子さんと遊びますか」に対して「よく遊んでいる」とした割合は44%、49%、58%と年々多くなっていた。また、「お父さんはお母さんの相談相手や精神的な支えになっていますか」という設問に「はい」と回答した割合は、2000年65%から2010年70%と増加している。いずれも母親から見た父親の状況であるが、家庭における父親の育児参加度は年を追って高くなっていることがわかる。