「教育相談の理論と方法 中学校・高校編」を刊行しました。

2015.05.18

2015年5月に玉川大学出版部より「教育相談の理論と方法 中学校・高校編」を刊行しました。
この本は教員志望の方々、教育に携わる方々が生徒や保護者からの相談を受ける際に役に立つとよいという思いで作成しました。現代の教育場面において、教員はさまざまな問題に向き合い、解決していかなければなりません。そのストレスはかなり大きなものです。熱意のある教員は非常に疲れ、精神的に追い詰められていくことも多くあります。一方、生徒も思春期を迎えると心身共に不安定になるものです。本人も辛いけれどもどうしたらよいかわからない、深く悩んだり、保護者や教員、または自分自身に当り散らしたり、引きこもったりします。周囲もどうかかわったらよいか、わからない状態に陥ることもあります。この本はこれらの年代の生徒がいる中学校・高校を対象にまとめた本です。
たとえば、非行にはしる生徒に対応する際に、こんなことをしていたらまともな大人にはならないと懇々とお説教をしても逆効果です。この年代は反抗することが発達課題の一つである、という知識を持っていればすぐにわかりますが、お説教という「上から目線の対応」はうまくいくはずもないのです。すなわち、現場での対応には、学問や知識が必要なのです。これは発達障害のある生徒についても同様です。教員が障害の正しい知識をもつことが、生徒や保護者を理解・支援する第一歩になります。
授業の際にも必ずお話するのですが、学問というものは、机上の学問の状態では現場で役に立ちません。一方現場での経験だけという状態では、判断は主観的なものになります。学問による軸を持ちながら経験を積むことが大切です。この本も、現場で役に立つような実践的な学問を心がけながら作成いたしました。そのためにたくさんの事例を入れてあります。事例を読み、自分の考えをまとめながら学習をすすめて欲しいと考えております。
目次をあげます。第1章 教育相談、第2章 生徒理解、第3章 教師におけるカウンセリング技法、第4章 学校における教育相談活動の在り方、第5章 学校内の問題の理解と対応、第6章 問題行動といわれる事象の理解と対応、第7章 障害のある生徒およびその保護者の理解と対応、第8章 中高生に起こりやすい精神疾患と身体疾患、第9章 教育相談に必要なさまざまな連携、第10章 保護者との協力体制の作り方、第11章 教員のメンタルヘルスという構成になっております。5名で執筆しており、それぞれが非常に優秀な先生です。その個性を感じながら、是非ご一読ください。

(教授:原田眞理)