日本小児保健協会学術集会(長崎大学)に参加しました。

2015.07.07

第62回日本小児保健協会学術集会が、2015年6月18〜20日に長崎大学医学部小児科学教室が主催で、長崎ブリックホール等で開催されました。この学会は、小児科医、保健師、看護師、保育士、養護教諭など、地域保健、学校保健、児童福祉、医療、教育関係者など、小児保健関連の職種の方々が、全国から1000人以上集まる、規模の大きい学会です。
250題ほどの一般演題発表の他に、4つの特別講演、6つの教育講演、6つのシンポジウムの他にセミナーなど数多くプログラムがありました。新型出生前診断技術、新生児マススクリーニング、乳幼児期健診、遊び、思春期の心、ダウン症、特別支援教育、子育て支援、放射線の健康影響など、胎児期から青年期、親世代までテーマも多岐に渡り、現代の小児保健分野の課題を象徴していると思われます。
聖路加国際病院の細谷亮太先生による「先端医学と医療」というご講演では、不治の病が治療可能になってきたこの半世紀の小児がん治療の発展を振り返りながら、医学と医療の違い、医療のあり方について、実際に最先端医療にかかわって来られた医師の気持ちを交えたお話を興味深く拝聴しました。また、京都大学総長の山極壽一先生のご講演「ゴリラの子育てからみた人間の子どもの不思議」では、類人猿という同じ仲間のゴリラとヒトの類似性・相違性をもとに、家族進化論や子育てのあり方についてのお話をうかがい、人間の子育てを再発見することができました。
会場近くには出島跡地やシーボルト由来の施設、そして平和記念公園などの文化遺産も多く、路面電車で会場移動の道中、江戸時代から戦後を経た歴史の流れの中で、現在そして未来の子どもたちの健康を考える機会を持つことができました。日頃、目の前の課題解決に追われている自分を反省する意味でも、有意義な学会参加となりました。

(教授 近藤洋子)