大阪・高知のIB教育実践を視察しました

2017.03.03

2月8日、9日に本学国際バカロレア(以下、IB)研究コース修士課程の3名と科目等履修生1名で2つの学校の視察をしました。教育学研究科では、理論的研究だけでなく、現場の実践と理論との往還を常に大切にしており、大学院の講義のない8・9月と2・3月は遠方の学校に出向いて授業を見せていただく絶好の機会になります。

1校目の関西学院千里国際中等部・高等部は、IB認定校である関西学院大阪インターナショナルスクールとともに2つの学校で1つの校舎を共有しており、キャンパス内では教員・生徒ともに英語と日本語が飛び交う国際色豊かな学校でした。私はIBの授業を中心に7コマ見学させていただきましたが、中でも「国際バカロレア数学抜粋」という授業では、IBコースには属さない高1~高3までの9名の生徒が一緒に授業を受けており、英語で書かれたIBの数学テキストを用いて各自が好きな問題を1題取り上げてプレゼンテーションを行っていました。プレゼンの後には「今ある情報を使って他の問題を作るとしたら?」「統計の勉強は学習者に対してどんな教育効果があるか?」などの闊達な質疑応答が学年を超えて行われていました。

2校目は県立高知南中学校・高等学校を見学しました。同校では英語教育・探究型教育に力を入れており、当日は公開研究授業日でした。私が見学した高校2年の数学の授業では、複雑な思考過程を必要とする「重複組合せ」の考え方を導くため、ジグソー法によって3つの視点を持ち寄り、グループで一つの見解へ迫る様子が伺えました。ジグソー法では全員の生徒が対等に議論に参加する仕掛けが生み出され、頭を抱えながら意見を出し合い、考えを練り上げていたのが印象的でした。高知南中学校・高等学校と高知西高等学校は、平成30年に統合して高知県立高知国際中学校・高等学校となり、IBプログラムの導入を検討していますので、今後の動向にも注目したいところです。

2つの学校はどちらも、IBの主旨を踏まえた教育の実践であると捉えることができるのですが、似通っているわけではなく、それぞれにオリジナリティの高いものでした。これは授業づくりにおいては担当者の創意工夫が欠かせないということの裏返しでもあります。自分自身がIB教員として授業実践する際は、豊富な理論に裏付けられたゆるぎない後ろ盾はもちろん、授業開発をするための環境を整える必要があると感じられました。

教育学研究科IB研究コース1年 佐野武