世界新教育学会に参加して

2018.08.13

6月16日(土)・17日(日)の2日間、神戸大学にて「国際教育フォーラム 新しい時代の教師教育―新教育からの展望―」として、世界新教育学会が開催され、教育学研究科からは7名の院生が参加しました。
16日のフィールドトリップでは、神戸市中央区にある賀川記念館を訪れ、協同組合運動、労働運動、農民運動等のさまざまな活動の草分け的存在となり、またいわゆる「スラム」とされる地域において、最も貧しい人々と共に生きた賀川豊彦の生涯について学ぶことができました。21世紀に入り、「格差」や「貧困」といったことがますます深刻な社会問題として表面化してきている現代の日本において、賀川豊彦の残した功績やその精神に学ぶことは大きな意義があると感じています。
17日には自由研究発表会、昼食をはさんでの総会、基調講演、シンポジウム、情報交換会が開催されました。A~Cの教室に分かれた自由研究発表会において、私はC教室の発表会に参加しました。C教室では、西勝海氏(玉川大学・玉川学園学友会)による『「子どもが自ら考える道徳」の実践授業』と、岡田博元氏(お茶の水女子大附属小学校)、本田祐吾氏(同)による『「生活から立ち上がる学び」を大切にした低学年教育をつくる ー個別と協働の学びから考える幼少接続ー』の研究発表が行われ、非常に活発に意見交流を行うことができました。例えば「一つの題材について取り扱う場合においても、子どもはたくさんの問題意識を持つ。子どものつぶやきや発言から如何にしてそれを汲み取るか。」ということや、「その日に自分が何を学ぶかということを、子ども自身が設定し、それを伝え合うことから始まる。」など、子どもの問題意識や活動を中心とした学習の実践例や先進的な取り組みについて学ぶことが出来ました。また基調講演では、堀真一郎氏(学校法人きのくに子どもの村学園)より、きのくに子どもの村学園での子どもたちの学びの姿とそれを支える教師の姿が報告されました。滑り台やログハウスを作る「プロジェクト」から、例えば算数の計算式を考え、自分たちで公式を導き出す子どもたちの姿や、教師を権威付けず(教師は「先生」と呼ばず、「さん付け」やニックネームで呼ばれること)子どもと共にある教師の姿など、画一的な一斉指導型の教育とは根本的に異なる姿がいきいきと語られていたことが非常に印象的でした。

教育学研究科1年 H.U.