世界新教育学会に参加して

2019.06.13

6月1日(土)・2日(日)に北海道情報大学において『世界新教育学会 国際教育フォーラム2019 北海道大会』が開催されました。初日のフィールドトリップでは、北海道博物館及び北海道開拓の村を見学し、アイヌ民族の歴史、文化、宗教等の特徴について学ぶことができました。特にアイヌ民族における「カムイ」に対する信仰は非常に興味深いものでした。例えば「クマ」は、単に動物として捉えられるのではなく、その中にカムイが宿り、肉と毛皮をまとい、それらを人間にプレゼントをするために、クマの形をして人間の世界にやって来るというのです。人間は生活のために、そのクマをとって食べ、毛皮をはいで着るのですが、そのお礼として、さまざまな儀式や装飾品等をカムイに捧げます。一方、そういった人間からの贈り物はカムイにとってみれば、カムイの世界において自分の格を上げるものであり、他のカムイに対する自慢になるものである、というのです。神聖な存在であるというだけでなく、意外と俗っぽさをもっているところが非常に面白く感じられ、また人間との相互依存あるいは共存の関係を築いている世界観であるかのように感じられました。

2日目には基調講演会、シンポジウム、研究発表などが催され、非常に充実した時間を過ごすことが出来ました。その中でも特に研究発表を行えたということが、私にとっては非常に印象深いものとなりました。なぜなら私にとっては初めての研究発表であったからです。内容に関して述べれば、反省することが山ほどあるものの、しかしそれこそが、今回の発表における最大の収穫だったと感じています。それは、発表後の質疑の際に「中身についてはよく分かったが、その中身そのものについて発表者であるあなた自身はどう考えるのか」という質問をいただいたことにあると感じています。この質問は「研究対象にのめり込んでおり、科学的な説明という点において、説得性が薄いのではないか」という指摘を含んだものだったのです。そのようなことから今後の方向性という点において、研究対象の中身を深めるだけでなく、その概要を掴む研究を深めていくべきだという視点を得ることが出来ました。今の自分が、どれだけ自分以外の世界とズレをもっているのか。より多くの人に受け入れられる内容となるまでに、どんな視点が足らなくて、何が必要なのか。自分の認識と、世界の在り様にはどれほどの距離があるのか。そういった、自分自身と世界との距離を測る感性のようなものが磨かれていく瞬間であったように思います。学会で発表できる機会というのは、本当に刺激的で、自分の研究をより充実したものにしてくれるものです。今回の経験を活かし、さらに充実した研究を行っていこうと思います。

教育学研究コース2年生 U.H.