「ニュージーランドの保育現場」報告から

2019.10.24

2019年9月28日(土)東京都町田市S幼稚園の竣工式で「ニュージーランドの保育現場から実践のわかちあい」としてTOTS CRONER 園長 ロレイン・マニュエラ先生のお話を森眞理先生通訳のもと伺った。
ロレイン先生はとてもおおらかな方で、ゆっくり園の写真をスライドで映し出し、保育の様子を話出すと、すぐそこに子ども達がいるかのように語り出した。
ニュージーランドの保育についてはこれまでに授業でも学んだ事があり、「テ・ファリキ」や「学びの物語」など、知識として知ってはいたが、実際の生きた保育の話から、これらを知るのは特別な意味を感じ、すぐに話に引き込まれた。
ロレイン先生の口から語られる写真を通して伝わる子どもの姿には、保育をする大人の子どもの捉え方が一貫してあり、「子どもは有能であり、あらゆる可能性に満ち溢れている」という子ども観があった。
一つの物の見方を大人が押し付けるのではなく、子どもが発する物から子どもの可能性を広げていく事を、保育に関わる大人全員が大事にしており、保育者同士や家庭が分かち合い、子どもを支える大人が皆で子どもを理解し、可能性を引き出す関わりを大事にしていることを知った。
また「聴き入る教育」を大切にしており、子ども自身が自分を語る事で発達していくことや、一人一人が物語を持つ事で、自己のアイデンティティにつながっていく考え方を、子ども自身が遊びを見つけ、遊びの中で気付き、知識を得て考え動いていく生き生きとした保育の様子から感じた。
日本においても子ども自身が主体的に遊び、遊びの中から学び成長していく考え方は大事な保育理念であり、ロレイン先生の話に通じる部分を感じた。
話の中で私が一番印象に残った事は「保育者が1人で保育をしているのではなく、保育に関わる大人が皆で子どもを見て、多様な目で子どもを育てていく事」を様々な写真を通して何度もロレイン先生は語っていた事だ。もちろんそこには家庭も含まれており、その多様な目と子ども理解が子どもの可能性を広げていくのだと特に感じた。
生き生きとした保育をしているロレイン先生の話は大変魅力的であった。
日本において、同じ保育は出来なくとも、「子どもの可能性を広げる保育」については、ぜひ考えていきたいと感じた。

(修士課程2年 M.M.)