修士論文構想発表会

2025.05.29

2025年5月16日、教育学研究科にて修士論文構想発表会が開催されました。この発表会は、修士課程2年(M2)の先輩方が一堂に会し、研究テーマや先行研究の整理、研究の意義、方法、今後の計画などを発表し、教員からの質問やコメントを受けながら、自らの研究の方向性を明確にしていく貴重な機会です。私たち1年生(M1)は、発表会の運営に関わりつつ、先輩方の発表を聴かせていただきました。

今回は8名の発表者が登壇し、各自8分という限られた時間の中で、熱意を込めて研究構想を語りました。研究対象やアプローチは多様で、制度分析や記録ツールに着目し教師や保育者の成長支援のあり方を探る仮説生成型の研究から、子どもの変容や保護者・保育者の子ども理解のプロセスに迫る実証研究まで、幅広い内容が展開されました。どの発表からも、先輩方が現場で感じてきた問題意識を、研究というかたちで掘り下げようとする真剣な思いが伝わってきました。

発表後には、教員から支援的でありつつも鋭いコメントや質問が寄せられました。特に印象的だったのは、「事例紹介で終わってしまっては研究にはならない。問いを立てて検証してこそ研究である」という指摘です。一方で、「問いは途中で変化することもある。問いを“育てていく”ことも研究の一部だ」と話す教員もおられ、問いへの向き合い方にも学びがありました。また、自身の職場をフィールドとする場合には、研究対象との関係性にともなうバイアスへの自覚と、その意義の明確化が重要であるという助言もありました。どのコメントも、研究の核となる「問い」や「意義」をさらに深めていく必要性を伝えてくださっていたように感じました。

私たちM1にとっては、研究とは何を、どのように進めていくものなのかについて、具体的なイメージを持つことができた貴重な機会でした。自分が知りたいことを追求する「勉強」と、問いを立てて検証することで、蓄積されてきた学術研究において何らかの付加価値を提供する「研究」との違いの一端を肌で感じることができました。

秋には、今回登壇した先輩方による中間発表会が予定されています。すでに先行研究調査やプレ調査を終え、学会でポスター発表を行っていた先輩もいらっしゃいました。つまり、先輩方は1年生の段階から着実に研究を進めていたということになります。発表の前後には、先輩方が1年生のときにどのような時間の使い方をしていたのかを直接聞ける貴重な機会もありました。私たちも、「自分は何を研究したいのか?」をそろそろ本気で考えはじめなければ、と気持ちを新たにしました。

教育学研究科 乳幼児教育研究コース Y.K.