「日本国際バカロレア教育学会」に参加して

2025.09.19

会場校の校長先生に、児童生徒の作品の
写真撮影・掲載の許可をいただいております。

2025年9月14日、長野県長野市にて「日本国際バカロレア教育学会 第10回大会」が開催されました。本大会は長野日本大学学園を会場として行われ、前日には公開授業も実施されました。実際の授業を参観したり、参加者同士で意見を交換したりする場が設けられ、多くの気づきや学びを得ることができました。会場にはIB教員、IBに関心をもつ教員、保護者など幅広い層の参加者が集まり、IB教育への関心の高まりを感じました。

学会では、IBの各プログラムの研究発表が多く見られ、プログラムが異なっても共通するIBの使命や学習者像を基盤としていることを改めて実感しました。そのため、自分の担当プログラム(PYP)と他プログラムとのつながりを考えるとともに、今後の方向性について新たな視点から考える貴重な機会となりました。

公開授業や学会を通じて特に多く取り上げられていたのは「概念」や「概念的理解」でした。日本の学習指導要領における「概念」と、IBが重視する「概念」にはどのような違いがあるのか、また次期学習指導要領で示されている「中核的な概念」とは何か、といった点が議論されていました。これらは、今後の教育においてより一層重要視されていくテーマであると感じました。

基調講演では、元アナウンサーでエッセイストの小島慶子さんが「教育移住からみえてきたミライの教育に必要なこと―国際バカロレア(IB)はどのような教育を提供できるのか―」という題で登壇されました。「多様性は半径2mの中にある」という言葉が特に印象的であり、多様性は海外に出なければ得られないものではなく、日常の身近な人間関係の中に存在することを強く意識させられました。これは、IBが目指す国際的視野の育成とも深く結びついていると感じました。また、「言語で全ては伝わらない」という指摘も心に残りました。同じ日本語を話していても、必ずしも互いを正しく理解できているわけではなく、言葉はあくまでツールに過ぎません。しかし同時に、言葉は人と人をつなぎ、橋渡しをする大切な役割を担っています。「何のために言葉を使うのか」「どのように使うのか」という視点を持ち、隣にいる人との関わりの中でこそ国際的な視野を働かせることが大切だと再認識しました。

今回の学会と公開授業で得られた学びを、今後の教育実践に活かし、より良いコミュニティーづくりにつなげていきたいと考えています。

教育学研究科 IB研究コース 2年A.K