「正しい答え」のない授業

2015.07.08

こんにちは!私はIB(国際バカロレア)コースに所属し、研究を進めています。IB教育…日本ではまだ耳慣れない言葉かもしれません。IB教育を「英語を話せるようになる」「海外大学への切符」と考えている人もいるかもしれません。まだ入学して3ヶ月の私ですが、IB教育の本質はそこにはないとわかりました。英語が話せなくてもいい人、海外大学には興味がない人。そういう人にとっても、IB教育は意味があります。より多くの人にこの教育理念を知ってほしいと思います。
IBコースの1年生は、「IB教師教育Ⅰ(MYP/DP)」という科目を履修します。これまで私たちが受けてきたのは、「正しい答え」を教わる授業でした。この授業には「正しい答え」がありません。答えが1つではないのです。IBコースの1年生は個性豊かな6人です。たった6人でも考えは様々。1つの問いから新たな問いも次々に生まれ、自分の頭では考えもしなかった答えがたくさん出てきます。話し合うことによって自分の意見を伝える難しさを知ったり、相手の意見を理解したいと思ったり、多角的に考えることの重要性を感じたりすることができます。そして、答えは一緒に創り出すものなのだと気づくことができます。

知識はとても大切です。しかし、「知る」ということと「暗記する」ということは大きく違います。教科書を開けば年号も公式も載っているのに、歴史の年号や公式は暗記しなくてはいけないものであるとされています。それは社会に出たときに必要だからだと言われますが、実際は試験で1点でも多くの点数をとるために必要とされているように思います。もし、1台のパソコンを持ち込むことができればほとんどの試験は満点をとれてしまうような試験が多いと思うのです。これからの教育では記憶しているかを問う試験を行うのではなく、知識を活用して考えられる力を問う試験に変えていく必要があると思います。そして私たちは、子どもたちに「正しい答え」を求めない教師を目指していく必要があると思います。

教育学研究科 教育学専攻1年 Y.N