谷先生Vol.4:伸びる先生の共通点〜「全員の子どもをなんとかしよう」と考えている〜

2016.07.22

今はそれほど力量がないかも知れません。
でも、「これから伸びていくだろうな」と思える教師には、どこか共通した資質があるように思います。
あるいは「持って生まれたもの」もあるのかも知れません。しかし、多くは本や先輩の言動などから学び、本人が努力をしながら、身につけていったものだと思います。
伸びる教師が共通に持っている資質として、一番大事だと思えるのがこれです。

「全員の子どもをなんとかしよう」と考えている。
(『授業の腕をあげる法則』向山洋一,学芸みらい社)

「全員の子どもをなんとかしよう」というのは、単に厳しくするということではありません。

「宿題を忘れた人は残りなさい!」
「漢字テストが悪かった人は残りなさい!」

このような指導のことではありません。
漢字や音読を宿題にして、授業の中でほとんど扱わないような指導でもありません。
「全員の子どもをなんとかしよう」というのは、子どもの一人ひとりを具体的に理解しようとすることから始まります。
職員室で、自分の指導力を棚にあげて子どもの悪口ばかりを言っている教師とは対照的です。
もしも、できない子のことを話題にするなら、単に愚痴を言うのではありません。

「その子ができないのには何か原因があるに違いない。」
「自分に見えていないものは何だろう。」
「自分の指導の何かが足りないに違いない。」
「どんな指導法があるのだろう。」

そういったことを、先輩教師たちと話題にしているのが、伸びる教師の特徴だと思うのです。
つまり「できない子に対しての優しさ」と「教師である自分に対しての厳しさ」を持っているのです。
一度も宿題を持ってこない子です。成績も当然悪いです。この子を叱りつけ、放課後に毎日残して宿題をさせるような指導ならどんな素人でもできます。簡単ではありますが、どこかささくれ立ったような違和感を感じさせます。
その子はお父さんがいないのかも知れません。母親が働いていて、家に帰っても一人でいるのかも知れません。あるいは発達障害等による何らかの難しさがあるのかも知れません。まずはそうしたことを一つ一つ理解しようとすることが出発点です。
そのうえで、個々の子どもに合った対応を模索することになります。
なんとかしようと真剣に思うなら、当然教師は日々勉強し続けなければならないと思います。