安藤先生Vol7:インクルーシブ教育に向けた「学校の5つのシステム」について考える(第3回)

2016.10.07

昨年度のシリーズなので、もう一度「学校の5つのシステム」をあげることとする。

  1. コーディネーターの養成と配置
  2. チームアプローチ(校内体制の構造化、機能別の会議)
  3. ケース会(作戦会議)
  4. 「個別の支援計画」(保護者との方針共有) ⇒ 今後は「合理的配慮」
  5. 巡回相談

通常学級で困り感のある子どもへの支援に特別支援教育ではイギリスの取り組みを参考にして、システムを提供したのである。
昨年度の第2回では、「1.コーディネーターの養成と配置」のうち、(1)全校児童生徒の観察とオンザフライミーティング(気づきの促しと早期発見)について述べた。
今回は、(2)相互コンサルテーション(信頼関係)、(3)ケース会をリードする(事前準備、短時間の工夫、参加者の持ち味を生かした具体的支援の決定)、(4)心理教育アセスメントの知識(WISC、K-ABC、行動分析、運動発達など)、(5)学校全体の心理教育的援助サービスシステムの構築(予防的かつ開発的支援、1次~3次的援助サービス、学校スタンダード、校内研究)を含め、全体を総括して、「コーディネーター」について考える。

コーディネーターは全校児童生徒を知っている必要がある。WISCやK-ABCなどの心理検査の知識を持ち、認知心理学の視点で、子どもの観察ができることが求められる。授業中、休み時間を問わず、校内をウロウロし、児童生徒の観察に多くの時間を費やしてほしい。そこからの気づきを理論に基づき整理し、担任と共有することから始まる。このオンザフライミーティング(雑談)から、信頼関係が生まれ、ケース会につながるのである。ケース会を短時間で成果あるものとすることがコーディネーターには求められる。そして、学校全体に、問題を一人で抱え込まない雰囲気、気づきあう協働性が広がり、早期発見のシステムが出来上がるのである。さらに、学校に予防的・開発的で具体的な支援や対応策がシステム化されるのである。
コーディネーターは、明るく、みんなに頼りにされるキーパーソンなのである。
コーディネーターの養成の研修の内容として求められることは、心理教育アセスメントの知識と外部資源(特別支援学校、児童相談所等)とつながる人的ネットワーク構築のしかけが不可欠である。