竹田先生Vol.12:授業力を磨く④...子どもが授業の中で幸せを感じる

2017.01.13

授業力について具体的に考える前に、子どもにとって「よい授業」とはどのような授業なのか、授業の本質について原点に立ち返って考えてみる必要があるのではないかと思います。
授業をテーマにした研究協議会の終了後、ある先生が、「一人ひとりの子どもが授業の中で幸せを感じることを大切にしていきたい」という感想を寄せてくれました。今まで考えてみたこともなかったその先生の一言が強く心に残りました。
子どもが授業の中で幸せを感じるってどんなときだろう。ある教育雑誌(『悠+』矢野英明H23年6月号)で紹介されていた、小学校3年生の理科の授業場面が思い浮かびました。「豆電球に明かりをつけよう」という学習で、子どもたちは導線の長さや太さを変えても回路をつくれば豆電球が点灯することを確認していました。その時、一人の子が導線を直角に何回も折って回路をつくっていました。先生が「どうしてそんな風に線を折っているの」と尋ねると「ジュースを飲んでいた時、ストローが折れると飲めなくなったので、導線も折り曲げると電気が流れないかと思った」と言いながら、豆電球が点くかどうか調べていたというのです。先生が、その場面を見逃さずに取り上げ、その子の考えをクラスで共有し合ったことで、子どもたちの理解をより深めることができました。 このように、一人ひとりの子どもの考えが認められ、共有されることで、授業の中に自分の居場所があることを実感できること、それが「授業の中で子どもが幸せを感じる」ことなのではないでしょうか。
そのためには、授業の中で子どもにどのような出会いをつくり、どのような学びの場を創造していくか、教師の「授業力」にかかっているといえます。子どもの豊かな学びを実現するために教師の果たすべき役割は大変重要です。それはなかなか難しいことですが、教師として最もやりがいのあることではないでしょうか。