谷先生:授業力向上のABCVol.4:子どもの意欲の引き出し方とは?

2011.11.28
谷 和樹

第一に「ほめる」ことです。
あるクラスでは授業の前から不規則発言が続いていました。飛び込み授業のためにやってきた私に対して「老けている!」「先生一〇四歳?」などと、教師が嫌だと感じるであろう言葉のオンパレードです。それが私にはかわいく見えてたまりませんでした。この場面を現場で見ていた先生の文章を紹介しましょう。

「自分なら気になってしまう。しかし谷先生は叱らない。注意することすらしない。
最初、かなりザワザワ、いやガヤガヤしていたクラスが授業の中心部になるとシーンとし、静かに熱中している状態になった。これが何度も注意してなった状態なら驚かないが、『静かにしなさい』などの注意一言すらなかった。結局四五分間、叱ることはもちろん、注意も一切なく、熱中した授業だった。びっくりした。授業後、『谷先生、一度の注意もなかったですね!』と話すと、谷先生は『注意しなきゃいけない所があった?』と言った。」

第二に指示の仕方と発問の質です。
同じ先生の感想にはこう書かれていました。
「明確な指示をし、確認することで全体を巻き込み動かしていく。もちろんそこには知的な発問・語りがある。さらに授業中に何度も何度も大笑いになるような、ユーモア・やんちゃっぷりがある。」
指示は明確にします。そして指示したことはちゃんと通します。それもにこやかに、楽しく、スピード感のある中でそれを実現するのです。
そして第三に内容そのものの知的な面白さです。
別のクラスで授業したときの子どもたちは次のような感想を書きました。
「授業は引きこまれるような興味深い内容でした。わかりやすく面白かったので夢中になって聞きました。その中で谷先生は今までの先生よりも強く意見を求めていたところが印象的でした。」
つまり、授業で子どもの意欲を引き出す授業技術のポイントは次の六つです。
(1)知的な発問と、
(2)明確な指示を、
(3)心地よいスピード感の中で展開し、
(4)大切なことを端的に教え、
(5)子どもの活動を的確にみて、
(6)ほめてほめてほめまくる。