澤田先生:理科教育のABCVol.2:「実感を伴った理解」とは?

2012.04.16
澤田 妙子

「実感を伴った理解」という文言は、今回の改訂で理科の目標に付加された。前回の改訂では「見通しをもって」の文言が付加され、今まで以上に児童の主体的な問題解決の活動の充実が求められた。これは、児童が生活経験や学習経験を基にしながら、問題の解決を図るために「見通しをもつ」ということです。解決をするために観察、実験を考え行うのですから一層意欲的な学びとなるので、学習の入り口を大切にしなさいということです。
「実感を伴った理解」とは、自ら自然の事物・現象に働きかけ、試行錯誤しながら問題を追求する主体的な学習を通して、学習後「やっぱりそうだ」「なるほど、こうなっているんだ」「上手くできているな」等々、自然という対象に驚きや感動が生まれ、素朴なイメージや概念が新たなイメージや概念に更新されるということなのです。これは、学習の入り口での「見通しをもった」観察、実験を行うことで、学習の出口で児童が「実感を伴った理解」が得られるということなのです。このように、児童の主体的な学びの過程を大切にすることによって「実感を伴った理解」ができ、確かな学力が身につくということです。

<理科の目標>
自然に親しみ、見通しをもって観察
実験などを行い、問題解決の能力と
自然を愛する心情を育てるとともに
伴った理解を図り、科学的な見方や
考え方を養う。

(1)児童自ら諸感覚を働かせ、観察、実験などの具体的な体験を通して自然の事物・現象について調べることによって実感を伴った理解を図ることができる。
(2)自らの問題意識に支えられ、見通しをもって観察、実験を中心とした問題解決に取り組むことにより、一人一人の児童が自ら問題解決を行ったという実感を伴った理解を図ることができる。
(3)理科の学習で学んだ自然の事物・現象の性質や働き、規則性などが実際の自然の中で成り立っていることに気付いたり、生活の中で役立てられていることを確かめたりすることにより、実感を伴った理解を図ることができる。
この3つの側面を合わせて考えると、「実感を伴った理解」を目指す授業とは、児童の主体的な学び(問題解決の活動)を保証し、学びの喜びを味わわせると共に、確かな学力を付ける授業ということができます。
また、児童の主体的な学びには、自分だけでなく友達との語らいが欠かせません。自分とは異なる考えや見方を知り、自分の考えや見方とのズレを意識することがより意欲的な追求活動を生み、「実感を伴った理解」となっていくからなのです。