井出先生:ことばの教育のABCVol.4:学級でのことばによる規律つくり

2012.05.28
井出 一雄

ここに、三つの詩を紹介します。

詩1
言葉は心 作者不詳
ひとつの言葉でけんかして
ひとつの言葉でなかなおり
ひとつの言葉でおじぎして
ひとつの言葉でなかされた
ひとつの言葉はそれぞれに
心をもっている

詩2
わたしと小鳥とすずと 金子みすずゞ
わたしが両手をひろげても、
お空はちっともとべないが、
とべる小鳥はわたしのように、
地面(じべた)をはやくは走れない。

わたしがからだをゆすっても、
きれいな音はでないけど、
あの鳴るすずはわたしのように
たくさんなうたは知らないよ。

すずと、小鳥と、それからわたし、
みんなちがって、みんないい。
「金子みすゞ童話集」(JULA出版局)より

詩3
教室はまちがうところだ まきた・しんじ
教室はまちがうところだ
みんなどしどし手を上げて
まちがった意見を 言おうじゃないか
まちがった答えを 言おうじゃないか

まちがうことをおそれちゃいけない
まちがったものをワラっちゃいけない
(以下、省略)
「子どもといっしょに読みたい詩」(小林信次、水内喜久雄編著 あゆみ出版)

どうでしょうか。 詩1 は学級での人間関係を築き上げるときに、ことばの大切さをしっかりと子どもたちに分かってもらうのに最適な詩だと思います。ことばには、人を何気なく傷つけたり人を喜ばせたりします。この詩を通して、時と場に応じたことばの大切さを学級規律として習慣化したいものです。 詩2 は、学級はいろいろな個性や特性の子どもたちで構成されていて、互いを認め合い尊重し合うことの大切であることを訴えています。「みんなちがって、みんないい。」を合い言葉にして徹底したいものです。最後の 詩3 は、まさに、学習規律といえます。「まちがうことをおそれちゃいけない」という言葉の重みを感じながら、授業中に子どもたちが堂々とたくさん発言できる学級をつくりましょう。