谷先生:教えて褒めることを通して自己肯定感のあがる授業をVol.3:研究テーマはできるだけ狭く限定しよう

2015.06.12

「百年前の子ども」と「現代の子ども」と「百年後の子ども」を想像してみましょう。その生物学的な能力はそれほど変わらないと思います。
でも、学校教育で教えなければならない内容の量と質は大きく変化していますね。その量は増え続け、その質は次々と高度になります。
その指導内容の変化と、目の前の子どもたちの実態との間を埋めるものが「教育研究」です。ですから、教育研究とは、突き詰めるとすべて「指導法の工夫」です。

  1. 授業における指導法の工夫
  2. 教材開発における指導法の工夫
  3. カリキュラム開発における指導法の工夫
  4. 団の中で生きるスキル・指導法の工夫

教育研究に終わりはありません。日々の現場で具体的に仮説をもち、工夫を重ね、実践し、検証し続けるのです。
研究のための研究になってしまっては意味がありません。教育研究では次のように自分たちに問いかけてみることが大切だと思います。

  1. その研究は子ども達にとって役に立ったでしょうか。
  2. その研究によって、何かが楽に(効率的に)なったでしょうか。
  3. その研究によって、何か見えなかったものが見えるようになったでしょうか。
  4. その研究の取り組みの結果、子ども達は学習を好きになったでしょうか。
  5. 以上のことを、客観的に(数値的に、あるいは描写的に)評価できたでしょうか。

こうしたことを実現するために大切なことがいくつかあります。例えば「先行研究」を調べることや、具体的に考えること、テーマと結論を正対させることなどです。
ここでは、次のことについて触れてみます。

テーマを狭く限定すること。

研究のテーマはを大きくしないほうがいいのです。
「自分に自信をもてる子の育成」
「学力向上と豊かな心の育成を目指して」
このようなテーマは大きすぎますし、指導の場面をイメージできません。どうなったら成果があがったのかを評価することもできません。
玉川大学教職大学院で以前書かれた課題研究論文のテーマの中から比較的分かりやすいも紹介します。

  1. 算数科における単元第1時の要件の検討
  2. 非連続型テキストを含む説明的文章指導の開発
  3. 理科授業における検証可能な予想の設定に関する一考察

お手本とまでは言えないかもしれませんが、少なくとも何を研究したいのかは分かりますね。