田原先生Vol.2:家庭内暴力をする子どもへの対応(2)

2015.07.03

それでは、子どもが家庭内暴力をする背景・要因として、どのようなものがあるのでしょうか。
家庭内暴力のきっかけとしては、受験の失敗や友人関係のトラブルなど何らかの失敗・トラブルにつまずき、挫折感を抱くことが発端となることが多くあります。しかし、大多数の家庭内暴力の背景には、「ダメな自分への怒りを、ダメ人間に育てた保護者に向けることで発散しようとする自責と他責が入り混じった怒りの気持ち」と「そんなダメ人間である自分でも何とかしてくれるのではないかという依存の気持ち」の二面性があります。それは就学前の子どもが、甘えながらも、すねている状態と似ています。そのため暴力を行う相手は、心理的距離が近く、最もよく世話してくれる母親であることが多くなります。
また、家庭内暴力の中には精神疾患に起因しているケースもあります。幻覚や妄想など他者から危害を加えられるのを恐れて暴力をふるってしまう統合失調症、うつ症状の現われの1つである怒りの表出、注意欠損多動性障害・行為障害や反社会性障害などの発達障害が家庭内暴力につながることもあります。
対応としましては、まずは暴力が精神疾患や発達障害に起因していないか検討する必要があります。幻聴や妄想、うつ症状、注意力の欠如・衝動性等が認められる場合、児童精神科、児童相談所、教育相談所、健康保険福祉センター等に相談するようにご指導ください。本人を連れていくことが困難である場合には、両親だけでも相談するようにさせてください。