竹田先生Vol.2:教師が授業でよく使う言葉の心裏「みんな、とてもよくがんばりました」

2015.10.19

教師に成り立ての頃の授業では、終わりはいつも決まって「みんな、とてもよくがんばりました」という言葉でしめくくるようにしていました。その言葉で、子どもたちの努力を認め、励ましていると思い込んでいました。そのような授業の終わり方に少しも疑問を感じていませんでした。
しかし、ある授業研究会に参加したときのことです。授業後の協議会での講師の言葉に衝撃を受けました。「教師の多くは、態度面のほめ言葉や情緒的な励ましの言葉しか持っていない。しかも、いつもほとんど同じ言葉かけを繰り返している。」という指摘でした。まさに自分もその一人であることを直感したからです。
「みんな」と表現しているときの私の脳裏には、その授業での一人ひとりの子どもの学んでいる姿は浮かんでいませんでした。実は、「○○さんは、いつもより発言が少なかったけれどどうしたのかな…」「○○さんは、なかなか書き始めなかったけれどどうしてだったのかな…」など、1時間の授業の中で見せる子どもの姿は一人ひとり違います。「みんな」と一括りにした言葉は、そうした一人ひとりの子どもの姿を捨象してしまいます。
また、「とてもよくがんばりました」という言葉からは、何がどうよかったのか子どもたちには少しも伝わっていません。子ども一人ひとりの学びの姿をしっかりとらえることもせず、学んだ内容を具体的にふり返らせることもせず、モノローグ的な語りかけに終始していました。
このような決まりきった言葉しか使えなかった最も大きな理由は、ねらいを明確にして授業に臨んでいなかったからです。目的もなく漠然と子どもの様子見ていたから、何がどうよかったのか具体的につかむことができませんでした。まさに見れども見えずの状態だったように思います。