谷先生Vol.8:共感力がカギ=新しい時代の統率力とは
指導の難しい子→現象面だけを見ないで理由を理解しましょう

2016.01.07

1 手に負えない子をどう統率すればいい?

立ち歩いてばかりで、授業に参加しない子がいます。注意しても全然言うことを聞いてくれません。
どうしたらいいですか。

先生方のセミナーで質問を受け付けると、最近多いのがこのタイプのものです。大学の講義のコメントペーパーでも、「手に負えない子をどうしたらいいですか」という質問が増えています。
クラス担任の先生方も、ボランティアで入っている学生も、みんな途方に暮れているようなのです。

2 魔法の方法はありません

そうした子どもたちが、その場であっという間に変化するような魔法の方法はありません。
大声で叱りつけ、力づくで押さえつける方法なら、一瞬静かになるかも知れません。でも、そういった雑なやり方は副作用も大きいのです。その子の状態は、やがてさらに悪くなるでしょう。
「立ち歩く」
「授業に参加しない」
「悪態をつく」
このような現象面だけを見て、「対症療法的」にその場主義で対応するのには限界があります。

3 理解し、共感し、はげますこと

おそらく、大切なことはこれだと思います。

なぜ、その子がそのような行動をするのか理解すること

いくつかのアプローチがあります。

(1) その子と同じ行動をしてみる。(体験の共有)

「床にねそべる」などのときにはやってみる価値がある。

(2) 先生も同じような気持ちになることがあることを伝える。(行動の共感)

「いらいらすることがあるよね」
「先生もやる気出ないことあるよ」
「分かるなあ・・・」
例えばこのような言葉がけになります。
その上で「なぜそうしてしまうのか」「そんな時はどうしたらいいか」等を一緒に考えます。

(2) どうしたらいいか教える。または選択させる。(行動の選択)

「いらいらしたときは『先生、ぼくはイライラしています』と伝えるんだよ。
「先生と一緒に目をつぶって深呼吸しようね。心の中で6秒数えよう」
このように「気持ちの表現の仕方」や「対処法」を教えるのです。
あるいは、「お掃除の時間だけど、もう少し落ちつくまで休んでいようか?それとも、そろそろ教室へもどる?」のように選択肢を与えることもあります。

(3) しっかり褒めて励まし、スキルを定着させる(賞賛・激励)

少しでもできたり、やろうとしたら、力強く褒め、励まします。褒め方も「名前を呼んで褒める」「繰り返し褒める」「ささやくように褒める」など、教師の気持ちを伝える方法を様々に工夫します。

それぞれの子の問題行動の背景はみんな違いますから、変化には時間はかかります。まずは理解することからスタートすることが大切だと思います。