「授業技術の研究と実践」講義の様子

2012.10.01

堀田教授による初回の講義では、「技術」を各自で定義をしたり、様々な辞書で定義を理解したりすることから始まりました。そして、「多くの人によって積み重ねられ、人々に一定の恩恵をもたらすものである」という「技術」の本質的な意味を学びました。本来、専門職と技術とは不可分の関係にあり、「技術を施す側の優劣によって、受けられる恩恵の度合いが違う」という特徴があります。教師という職業は専門職ですが、教育現場においては「技術」が軽視されがちであるといいます。本講義を通じて、授業技術の理論を理解するとともに、少しでも技術が身に付くよう努力したいと思います。

第2回の講義では、算数の教科書を読解しました。現職の先生とストレートマスターがペアになり、学年主任と初任者という想定で意見交換をしながら教科書の特徴を捉え、授業案を考えました。この活動を通じて、教科書は、単元や問題の順序、問題、フォーマット、絵、キャラクターとその台詞など、あらゆる事が緻密に計算されて作られているのだということを改めて実感し、感動しました。
教科書を上手に活用して授業をするために重要なことの一つが、目次と教科書の使い方のページを確認することです。特に、教科書の使い方は児童にもしっかりと指導をして、度々確認する必要があるといいます。私は、小学生時代から教科書の使い方を習った記憶はありませんでした。しかし、「教師がいなくても勉強できるようにすることが教師の仕事だ」という堀田教授の言葉に、その重要性を実感しました。
他にも、軽視されがちなページとして、単元の導入のページがあります。実際に読解してみて、導入のページに単元全体の見通しを持ったポイントが示されているということがわかりました。教科書に無駄なページなど一切なく、むしろ全てがより良い学習につながるページなのだということを学びました。
教科書に沿った具体的な指導技術を学び、堀田教授の言う「教材研究の8割は教科書読解」の意味が分かりました。オリジナルの問題や教材を考え実践することに意味がないわけではありませんが、一番身近で最良の教材である教科書をないがしろにすることほど勿体ないことはありません。児童が考えるべき内容が明確に示され、学習内容の定着と応用が段階的に達成できるように組み立てられた教科書を正確に読解することが、最も効率的で効果的な教材研究なのです。

次回は、社会科の教科書の読解です。算数とはまた違う視点を学べることが、とても楽しみです。

(ストレートマスター3年・A.S.)