渋谷区教育相談特別研修会を傍聴しました

2012.01.10

1月6日(金)に渋谷区教育センター主催の教育相談特別研修会が開かれました。教職大学院の阿久澤教授がスーパーバイザーをなさっているご縁で傍聴させていただきました。

第一部は、阿久澤教授による事例検討会です。スクールソーシャルワーカー、小学校・中学校の教員、臨床心理士がパネリストで模擬事例検討が行われました。それぞれの専門分野によって、資料から読み取ることや提案する援助の方法が異なりました。教員からは、支援員の配置や教員の声かけを変えるだけで随分変わるのではないかという援助提案がありました。スクールソーシャルワーカーや臨床心理士の立場からは「お母さんの悩みも聞きたい」「子どもとお母さんが二人で過ごす時間を作るためにセンターへ相談する機会を利用できないか」などの援助提案がありました。
阿久澤教授からは「学校でできそうなこともたくさんあるけれども、担任一人だけで、家庭と協働したり本質的な問題解決を図ったりするのは難しい。管理職や教育センターをどう巻き込んでいくかが解決の糸口になる。」というまとめがありました。

第二部は、筑波大学の石隈教授による「保護者と学校の協働 ~パートナーシップをめざして~」というご講演です。特に大切だと思ったのは以下の三点です。
○wantsとneeds
援助が自律を妨げる怖さを忘れてはいけない。「(子どもが)したいこと」をやみくもにかなえることは子どもにとってはマイナス。needsを押しつけても効果はない。成長という目的のためにはどうしたらよいかを一緒に考えていくのが教育相談の役割。
○日本型の援助チーム
チーム援助=役割分担ではない。教員、保護者、カウンセラー、医療関係者…子どもに関わる全ての人が、子どもという一枚の絵を見ているようなもの。分野ごとのバラバラのピースではなく、一枚の絵の全体を見ているがそれぞれの分野によって濃淡がある。濃淡の違う絵を重ねて見ることで子どもの理解が深まる。互いの分野や役割を尊重するとチームがうまく機能する。
○対等な関係
チームは、教え教えられるという上下の関係ではなく対等な関係。子育てに苦戦している保護者とは対等な関係を築きにくいかもしれない。カウンセラーや教育センターなどを活用すると、それぞれの役割がうまく機能する。「子どもの成長・幸せ」という共通の目標があるからチームになれる。

第一部・第二部のお話から、教員だけで考えたり対応したりするよりも、保護者を含めさまざまな専門家とつながった方が子どもが幸せになるなと感じました。
素晴らしい研修会を企画・運営なさり、傍聴を許可してくださった渋谷区教育センターの皆様に心より御礼申し上げます。

(現職院生・A.K.)