教職専門実習を終えて

2025.01.21

9月24日(火)から始まった教職専門実習が終わりました。今回の実習を通じて得た最も大きな学びは、大学院で学んできた国語教育が目指す学びは、理論を学ぶだけでは実現できないということです。私は実習中、言葉の必然性を吟味しながら他者と作品を読み深め、自らの言葉やものの見方をとらえなおすことができるような読みの交流の学習を目指しました。しかし、大学院で学んだ理論に基づく学習デザインが一見効果的に見えたとしても、教室では学習者の言葉に対する姿勢や学習者の関心が実際の学習者の学びに大きく関わるため、柔軟な力が求められることを実感しました。

具体的には、以下のような力が必要であると考えました。まず、学習者の実態を的確に把握しそれに寄り添う観察力、次に、学習者の疑問を把握し、それを起点に改めて理論をふまえながら問いを立ち上げ直す力、そして、話し合い活動における班分けを適切に行うための学習者個々の発達段階への理解や観察力です。また、学習者の言葉に対する関心を引き出すためには、発想力や観察力、授業者自身が言葉に対して関心を持ち続け、言葉に感動する感性を養い続けることも重要だと感じました。理論的な知識を土台に、以上のような力を授業者が養い、理論を実践の場で活用することで、初めて国語教育の理想に近づけるのだと強く実感しました。

学部時代の教育実習は四週間でしたが、今回の教職専門実習は八週間・十週間であり、大変長い間お世話になりました。先生方や子どもたちに温かく迎え入れていただいたおかげで、後半には実習校での生活が(図々しい表現ですが)自分にとっての日常となっていました。実習後には、日常が突然なくなりぽかんと穴が開いたような感覚になりましたが、実習中の出来事や学習者の学びの過程を振り返るなかで、教員としての自分の課題を見つめなおすことができました。実際に教員となった時も、自分を振り返り課題を見つけることを積極的にしたいと感じました。

また、教職専門実習後の事後指導では、SM五名が実習を振り返り、実習での学びや反省を共有しました。教材研究や授業準備でつまずいた際には実習校の先生方や大学院の教授に積極的に質問し、より良い授業のために頼るべき時に頼ることができたこと、生徒指導や授業準備は重要な教員の役目であるが自分の体調にも気を配り持続可能な生活を送ることも教員に必要な力だと学んだことなど、それぞれが得た学びは非常に大きいものだったと感じました。実習期間中も、学生同士で実習の様子や各自の課題を共有していたため、それぞれが得た学びは私にとっても実感を伴った貴重な学びとなりました。

最後になりますが、受け入れていただいた校長先生をはじめ、実習校の先生方、教職大学院の皆様、本当にありがとうございました。

(SM1年 M.S)