玉川大学脳科学研究所特別講演会(第6回)を2022年9月5日(月)にハイブリッドで開催
玉川大学脳科学研究所特別講演会(第6回)の開催について
日時 | 2022年9月5日(月)16時00分~17時30分 |
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開催方法 | ハイブリッド開催(Zoom meeting) |
講演者 | 吉田純一先生 アルバートアインシュタイン医科大学 ポストドクトラルフェロー |
講演タイトル | 小脳の報酬情報とドーパミンニューロンにおける報酬予測誤差の計算 |
講演内容 |
ただ実行するだけではなく結果に応じてより良い運動・行動を学習する能力は、動物の脳にとって最も基本的な機能です。黒質緻密部(SNc)や腹側被蓋野(VTA)のドーパミンニューロンが強化学習モデルに則った報酬予測誤差(reward prediction-error:RPE)の計算を通して行うように、小脳もまた教師付き学習モデルに沿った運動誤差信号の計算を通して運動・行動の学習に寄与することは以前からよく知られています。しかし、小脳とドーパミンシステムでそれぞれ実行された処理結果がどのように統合され、そしてそれらがどのように協同してこの機能を実現しているのかについては分かっていません。近年の研究から、小脳もドーパミンニューロンのように報酬に関連した情報を表現することが分かってきています。くわえて、私たちの研究室は小脳が単一シナプスの興奮性投射をSNcやVTAに送っていることを明らかにしてきました。これらの研究結果を受けて、私たちは小脳が報酬関連の情報をSNcやVTAに伝達することでドーパミンニューロン上のRPEの計算に影響を与えている、という仮説を立てました。今回私たちは頭部固定下のマウスにPavlovian行動課題を訓練し、その際ファイバーフォトメトリーによる特定ニューロンの活動の記録や光遺伝学的にニューロン活動を操作することでこの仮説を検証しました。一連の実験を通して小脳からSNcやVTAへ投射するニューロンは報酬予測のタイミングだけでなく報酬そのものに対しても強く活動することが分かりました。とくに報酬獲得時の活動の大きさは得られた報酬の価値に依存して変動していました。また、光遺伝学的に小脳からのドーパミンシステムへの入力を抑制すると、線条体領域においてRPEを表現する形で行われていた報酬獲得タイミングでのドーパミン放出の動態が変化しました。以上の結果は小脳が報酬関連情報の伝達を通し、ドーパミンシステムと協働しながら運動・行動の学習に関与していることを示しています。また、SNcやVTAのドーパミンニューロンはパーキンソン病や薬物依存の病態の中心とも考えられていることから、ドーパミンニューロンへの投射を介して小脳がこれらの疾患に関与している可能性も示しています。 |
参加登録 |
学外の方につきましては、オンラインでの参加となります。 事前登録は終了いたしました |
登録締切日 | 2022年9月4日(日)17時 |
個人情報の取り組み | 下記、個人情報への取り組みをご確認のうえ、同意する場合のみ参加登録をお願いします。 |
参加費 | 無料 |
主催 | 玉川大学脳科学研究所「社会神経科学研究拠点」 |
お問い合わせ | 玉川大学脳科学研究所 社会神経科学研究拠点 共同利用・共同研究支援室 eメール:bsi_collabo@tamagawa.ac.jp Tel:042-739-7236 |