近藤先生:学校の危機管理Vol.4:担任のいやがらせで不登校になった!その訴えにどう対応するか

2015.12.03

小学4年生の男子C男の保護者が、突然校長室を訪れ、「子どもが担任からいやがらせや暴行を受け、精神的にダメージを受けて不登校に陥った」と主張し、担任の交代と校長の謝罪文を強硬に求めてきたという事案を考察します。
C男は2週間前、クラスメイトをコンパスの針で脅し、担任から指導を受けていました。その後、C男は欠席が続いていました。当日、担任は興奮したC男を落ち着かせるため、両腕をつかんで相談室に連れて行って指導しましたが、保護者はこれをいやがらせ・暴行として告訴すると主張しているのです。
こうした事案への対応は公正かつ冷徹な事実把握が最も重要であり、迅速な組織行動によって事実を確定しておく必要があります。この確定事実が問題解決のスタートラインになるのです。保護者によっては、弁護士や議員を経由して圧力をかけてくることもありますが、学校は確定事実に基づく公正な対応を毅然として貫く必要があります。
事実の確定には、当該者はもとより周囲にいた教師や子どもからの聞き取りに加えて、「現場検証」並みの詳細な事実把握が求められます。関係者の会話や立ち位置、手足の動きや力の入れ具合などを、時系列を示す写真など添えて明示できるようにする必要があります。それは、教師の制止行為が“暴行”として被害届が出される場合等に備えるためであり、また、C男の行動を正確に把握して育成上の課題を明確にし、適切な指導を行うためなのです。
こうした対応の一方、C男や保護者と関わり続け、その気持ちを受け止めて整理できる「キーパーソン」の存在も必要です。そこには、腰を据えて関わり続ける粘り強さと包容力(人間性)が能力として求められるのです。学校はあくまで子どもの成長を目指し支援・指導を続ける機関です。冷徹な事実把握も、その子どもの成長上の課題を明確にして保護者とともに育成する材料とする必要のためなのです。子どもを良くしたいという思いは必ず相手に届くと信じることも対応のコツのひとつです。
今回はコラム欄ということで、一部の局面に絞って述べましたが、訴訟などに発展するケースでもあり、日ごろから教委など関係機関と密接に連携しておくことも欠かせない対応方法といえます。